矛盾だらけの修正案
患者負担の減少も疑問

 選択療養制度(仮称)の修正案の矛盾点をあげてみよう。

①安全性・有効性の確認方法は、先進医療とほとんど同じ。規制改革会議は、その手法をもって、選択療養制度(仮称)の受付までの期間を短縮化すると言っているが、果たして可能なのか。
②医療の安全を保つためには、実施する医療機関に一定の基準が必要だが、選択療養制度(仮称)では施設を限定しないと言っており矛盾する。
③選択療養制度(仮称)で積み上げたデータをもとに、先進医療や保険診療への道が開かれるとしているが、個別のデータでは治験等に必要な安全性・有効性の判断は難しい。また、先進医療になった時点で実施医療機関は限定され、自由度が失われる。
④選択療養制度(仮称)を保険診療につなげると、結果的に公的医療費は増えることになるが、論点整理では「殊更に保険診療が増えたり、保険財政が悪化する理由にならない」と矛盾する説明をしている。

 選択療養制度(仮称)の矛盾点を上げだすとキリがないが、もうひとつ言えば、提案理由にかかげている「困難な病気と闘う患者」が「保険診療に係る経済的負担が治療の妨げにならない環境を早急に整備する」という目標も、実に矛盾に満ちたものだ。

 規制改革会議は、患者の自己負担を引き下げるために、選択療養制度(仮称)を導入しようとしているが、その治療が保険外に留まっている限り、患者の負担はさほど軽くはならない。

 たとえば、朝日新聞の出河雅彦記者の著書「混合診療『市場原理』が医療を破壊する」(医薬経済社)によれば、未承認抗がん剤の患者負担は次の金額になる(2008年に承認され、保険適用されている進行・再発大腸がん治療薬セツキシマブを利用した場合の1ヵ月の自己負担額。70歳未満で一般的な所得の人)。

 混合診療が認められない/75万円
 混合診療が認められる/68万円
 すべての診療に健康保険が適用される/約8万5000円

 混合診療が認められない場合に比べると、認められたほうが7万円ほど安いが、抗がん剤自体の価格が高いので、保険併用できても患者の負担が大きく減ることはない。だが、健康保険が適用されれば、高額療養費の対象にもなるので、患者の負担は一気に8万5000円まで下がる。

 真に「困難な病気と闘う患者」の「経済的負担が治療の妨げにならない環境を早急に整備する」には、誰もが少ない費用で使える健康保険収載への道を確保することが必要だ。保険外の治療範囲を広げる選択療養制度(仮称)の仕組みでは、患者を救うのは難しい。