7月18日、難病患者やその家族で作る「一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会」が、「混合診療のなし崩し的な解禁に反対する~必要な医療は保険適用が原則~」(PDF)という新たな見解を発表した。

 安倍政権が6月14日に閣議決定した規制改革会議の「規制改革実施計画」に対して、難病当事者たちが強い懸念を示したもので、治療の安全性への疑問、医療費の不安などがつづられている。

 このコラムでも、保険診療と自由診療を併用する混合診療の弊害については再三取り上げてきた。しかし、この参院選で自民党が過半数の議席を獲得したことで、規制改革が加速する恐れがでてきたため、改めて取り上げたい。

混合診療の禁止は
医療の安全を守るため

 日進月歩で生まれる新しい医療技術。これらは、病気やケガを治すために開発されたものとはいえ、メスで切ったり、科学化合物を投与したり、少なからず身体にダメージを与えるものだ。そのため、新しい技術ができたからといって、すぐに利用されるわけではない。

 実験を積み重ね、安全性と有効性が確認され、副作用も少なく、「これなら広く一般に普及しても大丈夫」と判断されてはじめて医療現場で使われるようになる。そして、実績ができて評価が定まると健康保険が適用されて、誰でも使える治療として全国に広がっていく。

 一見面倒に見えるプロセスだが、これは評価が定まらない薬や治療法によって国民が健康被害を受けないようにするためで、医療の安全を守るための必要な措置なのだ。

 だが、こうしたプロセスを踏んでいない自由診療も巷には出回っている。こちらは期待できる効果は玉石混交。研究の最終段階まできていて将来的に健康保険の適用が受けられる可能性の高いものもあれば、効果が定かでない怪しげなものもある。