「研究者たちがある課題で盛り上がっているとき、『その課題の本質は何なのか?』を議論して、何を明らかにしなければならないかを特定して、数学の考え方や手法を導入するとどうなるかを一緒に考えてきました。ヴィジュアライズ(図・グラフなど視覚的に訴える形にすること)を私自身が行ったりもしました。始まった時から、そうやって考えてきたからこそ、今、まとまった方向に向えているのだと思います」(小谷氏)

 東北大AIMRが世界トップレベルの研究拠点でありつづけるために小谷氏が行っていることは、研究の営みの中では、どのように位置づけられるのだろうか?

「研究は研究者のものです。研究者に頑張ってもらうしかありません。私が『トップダウン』で行っていることは、サポート体制を作ること、方向・やるべきことを示すこと、それができる研究環境を整えることです」(小谷氏)

 もちろん研究は、研究者だけで行えるわけではない。研究環境には、多様な支援スタッフや、その支援スタッフたちが活動する環境も含まれている。

「結局は、人です。東北大AIMRは、研究者にも支援スタッフにも、両方、恵まれています。研究者は、研究に対して積極的で、献身する気持ちでいます。支援スタッフは、研究者に対して積極的に話しかけ、どのように支援すれば理想的な研究環境が実現できるかを常に考えています」(小谷氏)

東北大AIMR内ミーティングスペースのホワイトボード。居心地よく作られた空間の中で、研究者たちは研究をより深め、推進することに余念がない
Photo by Y.M.

 東北大AIMRは、冒頭で解説したとおり、文部科学省「世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)」の一拠点だ。WPIの趣旨は、文部科学省に委託されて審査・評価・管理業務を行っている日本学術振興会により、「システム改革の導入等の自主的な取組を促す支援により、第一線の研究者が是非そこで研究したいと世界から多数集まってくるような、優れた研究環境ときわめて高い研究水準を誇る『目に見える研究拠点』の形成を目指しています」と説明されている。「第一線の研究者」に参加を呼びかけるリクルーティングと、その人々が「是非そこで研究したい」という魅力を感じる場を作り、さらに魅力的にしていくマネジメント。東北大AIMRには、その形の1つを見ることができる。

 現在この瞬間も、さまざまな大学のさまざまな部門で、「自分たちのミッションは?」「自分たちは、ミッションをどのように遂行することを望まれているのか?」「自分たちは、どのような結果を出すことが期待されているのか?」という自問自答が行われている。

 次回は、東北大学AIMRの事務部門を通して、研究機関の運営を考えてみたい。「3つのターゲットプロジェクト」が決定されるプロセスは、事務部門からはどのように見えていたであろうか?事務部門から見た研究者たちの姿は、どのようなものであろうか?