さらに、消費増税に向けた経済対策という大義名目も加わり、公共事業費の積み増しがどんどん拡大していった。まさにAタイプの公共事業の完全復活である。

 そんな状況下の今年5月29日、衆議院第2議員会館の会議室で、「国土強靭化を考える勉強会」(公開)が開かれた。主催したのは、「公共事業改革市民会議」(橋本良仁・代表)という市民グループ。国民の利益につながる公共事業への改革を目指し、道路やダム、スーパー堤防や防潮堤、リニア新幹線などについて、各地で活動しているグループの集まりである。

予算を膨らます道具ではとの疑問噴出
「国土強靭化」の正体がよく見えない

 勉強会は、国会議員も参加しやすいようにと議員会館で開かれたが、議員本人の参加はなく、秘書が2人のみ。参加者は23人だった。環境経済研究所代表の上岡直見氏が講師を務め、国土強靭化の概要とその正体などについて語った。

 上岡氏は、「防災・減災は喫緊の課題であるが、中央集権的な手法ではなく地域の状況を反映して、住民との対話のもとに行うべきだ」と主張し、1時間ほどの講演を終えた(詳細については、上岡氏の著書『日本を壊す国土強靭化』を参照願いたい)。

 講演後、参加者から国土強靭化策への疑問の声が飛び交った。「国土強靭化とは何なのか、中身がよく見えない」「予算を膨らます道具というのが、実態ではないか」「防災・減災を理由にして、これまでできなかった道路事業などを一気にやってしまおうという感じになっている」「防災だからと言われると、それだけで異論を言えなくなっている」「防災に名を借りた従来型公共事業の推進で、土建国家の復活だ」などなど――。

 参加者の誰もが防災・減災の必要性とその実施を訴えていたが、今のやり方で本当に防災・減災につながるのかと、口々に疑問を呈するのだった。橋本会長が「本当に国民の生命と暮らしを守れるような対案を我々として出すべきだろう」と語り、勉強会は終了した。