

もしあなたがある企業のネットワーク責任者で、最近ネットワークベンダーから何らかの売り込み(WOC、ADC、イーサネット・ファブリック、ルーティング/スイッチ、SDN、ACI、NSXなど)があったとしたら、OpenStack関連のスライドに目を通しているかもしれない。
であれば、OpenStackの熱の高まりを肌で感じる(あるいは確信する)ことは、さほど難しくないだろう。しかし、OpenStackが世の中を動かすようになるには、まだ時間が必要だ(私のブログ記事「legacy runs the world<過去の遺産で動く世界>」参照)。したがってネットワーク畑の人々にとって、リディアのレポートはOpenStackに関する打ってつけの手引き書である。その断片を、いくつかご紹介しよう。
OpenStackとは?→OpenStackはオープンソースのクラウド管理プラットフォーム(CMP)で、通常はプライベートクラウドの構築に使われる。
普及状況は?→OpenStackの普及はいまだ黎明期であり、現時点ではOpenStackを稼働させている組織はごくわずかだ。
OpenStackを使えばベンダーロックイン(特定のベンダーに大きく依存すること)から解放される?→オープンソースと言っても、他の商用CMP製品に比べてベンダ依存が減るわけではないことに注意が必要だ。
ネットワークに関しては?→OpenStackのネットワーク構成要素はNeutronと呼ばれており、それに関する記事が5月中旬に掲載されている。閲覧はこちらから。
なお、このブログを書いている間に、サミットに参加していたリディアが新しい記事を投稿した。詳しくはこちらを確認していただきたい。
(翻訳:ダイヤモンド・オンライン IT&ビジネス)
原文: OpenStack 101 for Network Folks
ガートナーのハイプ・サイクルを参照すると、OpenStackを含む「オープンソースのクラウド管理プラットフォーム(CMP)」は“過度な期待”のステージに入っており、本文にある通り、まだ技術的に成熟しきれていない。
実際、他の商用CMP製品と異なりOpenStackは追加開発なしにすぐ利用できるものではないため、現時点では、ユーザーもクラウドサービスプロバイダ等に限られ、一般の大企業ユーザーがプライベートクラウドを構築するために活用するという事例は日本においてもあまり聞いていない。
しかし、昨年あたりからお客様との会話の中で、クラウド管理プラットフォームや、OpenStackが話題に上がる機会が増えており、興味や期待の高まりを実感している。リディアの記事にもある通りOpenStackを取り巻く環境は変化を続けており、今後も動向を注視し続ける必要があると考える。
濱田 隆・ガートナー ジャパン コンサルティング部門 シニア・コンサルタント