経営 × オフィス

目の前にいない部下を、どうやって評価するか?
――「働き方変革」推進企業の人事部が越えた壁

河合起季
【第2回】 2014年6月13日
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 導入から3年が経ち、マネージャーからは「見えない行動を可視化するためのOne-on-Oneミーティングによって、逆に部下の仕事内容がよく見えるようになった」という評価も。結果論だが、目標設定と管理の正しい遂行ができる環境が求められていたのかもしれない。

 前述したとおり、テレワーク制度やフレックスタイム制度のルールがいたってシンプルな点も特徴といえるだろう。対象者の階級を細かく定めたり、利用回数の制限も設けていない。テレワーカーを監視するシステムの導入もやめたという。

 「人事部には悪用されたら困るという気持ちがあるものですが、あれもダメこれもダメというと、働き方変革はまったく進まない。今振り返ると、もっと性善説でやってもよかったと思うくらいです」

 社員を信じ、ポジティブな雰囲気をつくり出すことも大切なようだ。

「裁量労働制」を目指すも、
現状に合わず断念

 ただ、こうした制度の導入が最初からスムーズに行われたわけではない。働き方変革には、働く時間を重視する「時間思考」から、成果を重視する「成果思考」に社員のマインドを変える狙いがあった。そのため、当初は成果志向に最も適した「裁量労働制(対象は技術職)」の適用者拡大を目指したという(従来から上位グレードの技術者に限定して適用されていた)。

 裁量労働制では、実際に働いた時間の長短にかかわらず、労使協定に基づいた一定時間の時間外手当が固定支給されることになる。

 だが、これは実現には至らなかった。

 「理由は、地方では1人が担当する技術の領域やお客様の範囲が非常に広くなるため、特定のエンジニアにどんどん仕事が集中してしまうことがわかったからです。そんな中で裁量労働制を提案しても、社員が業務平準化への不安や処遇の不公平感を抱くのは仕方がないこと。これまで本当にがんばっている人は、残業が多くなり、そのぶん給料も増えた。つまり、残業代制がうまく機能している面もあったんですね」(下田氏)

 経営方針や時間外労働の削減効果を考えると、会社にとって裁量労働制のほうがメリットは大きいが、社内での現実的な効果や社員のマインドを踏まえ、前述したフレックスタイム制度(全職適用)に切り替えたのだ。

 ただ、現時点で現場からは裁量労働制を支持する意見も出始めた。3年前は時期尚早だったかもしれないが、社員に自己管理に対する自信が芽生えてきたのかもしれない。

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