最近研究でわかった新事実
緘黙は環境因子が加わって発症

 話すことのできないことだけが、活動の制限ではない。

 人前にいることそのものが苦手。人目で何かをする。トイレに行く。ご飯を食べるといった様々な活動の制約がある。

「緘黙の子どものほとんどは、家では話すことができる。緘黙は、何らかの環境因子が加わらないと発症しないことが、最近の研究でわかってきたのです」

 緘黙が発症する典型的な時期は、保育園や幼稚園に上がるとき。しかし、その子たちの成育歴を見ていくと、幼稚園などに上がる前から、母親と離れるのを嫌がったり、人見知りが強かったり、3歳児検診で泣いてしまって体重が測れなかったりする兆候がかなりの確度であって、環境因子によって発現しているという。

「やっかいなのは、年齢が上がるにつれて、環境因子の関わり方が変わってくる。最初のうちは、友人がなかなかできない。友人同士、お互いのことがわかってくると、話さない子と見られるようになることが、強力な環境因子です。さらに年齢が上がってくると、友人関係が固まってしまって、友人関係を再構築できない。元々、不安が強くて緘黙状態になっているんですが、だんだん不安が減って、もう話しても大丈夫かなと思っても、ある日突然、話をすることができない。同年代の子たちとの適切なコミュニケーションの力が育っていないので、自然なトレーニングがまったくない状態で話さないといけないのです」(高木講師)

 年齢が上がるにつれて、緘黙の質が変わってくるのである。

 つまり、まったく違った背景のものも、表に出てきた状態像として、便宜上、緘黙と解釈しているという。

 兄弟姉妹がともに緘黙症というケースも多い。高木講師によれば、元々、ドキドキしやすいといった不安の感じやすさが似ているからのようだ。

親として緘黙の支援をどうすべきか
環境の変化がプラスになることも

 では、周囲はどのような支援方法があるのだろうか。

「緘黙症という名前と、他にも困っている人たちがいることを本人に伝えてもいいと思うので、本人としっかり話をすることです。“どうしたら話せるようになるのか。一緒に考えてみよう”というアプローチが必要になります」(高木講師)