依然続く政官財の支え合い

 この仕組みはある日突然できたものではない。財界・業界は長年政界にロビー活動を行い、実績を重ねてきた。年初の恒例行事である自動車工業会の新年会には総理大臣、経産相、国土交通相が招かれ挨拶する。自民党税制調査会の有力者をはじめ大勢の国会議員が集まることで有名だ。

 リーマンショックで税金を払えなくなっても、自動車業界は政治献金を続けてきた。

 財界は1988年に起きたリクルート事件をきっかけに政治献金を廃止した。復活を決めたのは経団連会長だった奥田碩(ひろし)トヨタ自動車社長(当時)だった。奥田氏は経済財政諮問会議の民間委員を務め、政府方針の策定に参加し、小泉政権を支える財界の柱だった。

 租税特別措置や補助金は民間企業の働きかけだけでは獲得できない。所轄官庁の協力が必要だ。業界と一心同体になって制度づくりに動いてくれる官僚機構を抜きに優遇措置はありえない。

「納税復活」を語った決算会見には、章男社長の傍らに経産官僚だった小平信因氏が寄り添っていた。資源エネルギー庁長官で退職し、冷却期間をおいてトヨタに再就職し今は副社長である。

 日米自動車摩擦が起きた1980年ころは、自動車課の課長補佐としてメーカー各社に対米輸出の「自主規制枠」を割り付けるなど、若いころから業界に縁の深い人だ。トヨタの経営に加わることは自動車官僚としての人生の到達点かもしれない。

 1兆円儲けながら、税金ゼロ、という世間常識を超えた「仕組み」を支える構造はトヨタや自動車会社に限った話ではない。

 税制は国の根幹である。決めるのは国会であり、与党である自民党の税政調査会が強い力を持ってきた。背後には大企業のロビー活動や官僚による政策づくりがあり、政官財が一体となって税制が形作られている。

庶民、零細企業には負担を強いる

 企業が法人税を下げてくれ、というのは当然の要求である。税金が安いのはありがたいことで、国際競争にさらされる企業にとって死活問題かもしれない。一方、庶民にとって消費税が上がることは楽しいことではない。増税分を価格に転嫁することが難しい中小零細の事業者も「消費増税大反対」だ。