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「デジタルな日常」を生きる

デジタルな日常を
気配のように実現するアップル

松村太郎 [ジャーナリスト・著者]
【第19回】 2014年6月20日
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 もっと自由で便利な方法があるのではないか、と興味を持った瞬間を迎えるのだ。その上で、新しく提案されたテレビの見方が解決策としてフィットすると、「そうあるべきもの」を獲得したと感じる。

 もちろんApple TVよりもより高度なインターネットとの連携を行っているセットトップボックスはある。しかし例えばテクノロジーにまみれて暮らしている筆者であっても、Apple TVの「ちょっとしたシンプルな進化」にちょうど良さを感じるのだ。

デジタルな日常とは

 さて、本連載もおよそ1年になるが、ここで連載タイトルにまつわる話をしておこう。

 デジタルな日常とは何か。今年ももう半分が過ぎつつあるが、2014年はこの問いに対して、一気に答えが出てくる後半戦を迎えるのではないか、と予測している。基本的な考え方として、2通りの発展の方法がある。

 1つ目は、デジタルを活用している様子を非常に明示的に体験することだ。デジタルの技術によって人や企業、教育と行った様々な活動で不可能だったことを実現したり、高度化したり、効率化する様子が、我々利用者の目に見えるようにすることだ。テレビでいえば、3Dや4Kといった新しい映像表現を可能にすることかもしれない。

 2つ目は、もう少し地味に見えるかもしれない。デジタルそのものを意識する必要なく、我々の生活を裏でサポートしてくれるという様子だ。こちらは、人に伝える際、あるいは企業が新製品の目玉としてアピールする際には非常に難しいし、テクノロジーそのものの優位性を声高にアピールするものではない。しかし気づかぬうちに確実に生活を変えてくれている、そんな日常だ。

 デジタルの世界では、どうしても前者に偏りがちだったかもしれない。本連載でも時折紹介しているが、今までに見たこともなかったことを実現してくれる突き抜けた面白さがそこにはある。こうしたものに触れて、我々は未来の生活を想像したり、そうした技術を使った商品やサービスを作り出そうとするエネルギーになる。

 しかしどうしても波がある。驚くような発明は、そう続くわけではないからだ。一瞬で世界を変えるかもしれないが、次のその瞬間が100年後なのか、200年後なのかはわからない。そう、この原稿をお気に入りのキーボードで入力していて思うのだ。パソコンは最新でも、キーボードは100年以上前にスタンダードになった配列を使い続けているのだ。

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松村太郎
[ジャーナリスト・著者]

まつむら・たろう/1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「スマートフォン新時代」「ソーシャルラーニング入門」など。

「デジタルな日常」を生きる

スマホ、SNSなど、毎日の暮らしに欠かすことのできなくなったネット環境とデジタルツール。その一方で、セキュリティやプライバシーの問題、ツールへの依存、ネットコミュニティとの関わり方など、日々新たな問題が現れ、状況は変化している。私たちは「デジタルな日常」をどう生きていけばいいのか、米国シリコンバレー在住の記者が、生活者の目線で解説する。

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