シリコンバレーで30年続く企業

アップルの米国サイトで公開された「Mac30周年」のロゴ

 2014年1月24日、アップルは同社のコンピュータブランドである「Mac」(かつてのMacintosh)が30周年を迎えた。米国の一大イベントであるアメリカンフットボールの決勝戦「スーパーボウル」でアップルはコマーシャルを放映し、それまでのコンピュータを打ち壊す製品であるとアピールして登場したのがこの製品だ。

 片手で持てるディスプレイと一体型の筐体、より信頼性が高まった3.5インチフロッピーディスクを搭載し、キーボードに加えてマウスでの操作を標準としたグラフィカルユーザーインターフェイスを備えた。その他のコンピュータがキーボードからコマンドを入力して操作するスタイルであったことから、画期的なコンピュータとして受け入れられ、デスクトップパブリッシング(DTP)などの新しい分野を切り開いた。

 スタートアップが活発な分、消えていく企業も多いシリコンバレーで、1つの製品を30年作り続ける企業は非常にまれだ。特に、事業を売却したり、「ピボット」と呼ばれる事業転換の手法が用いられ、さらにアプリ1つで大きなユーザーベースを獲得できるようになった現在、こうした長期にわたって1つの製品カテゴリにコミットし続けるアップルは、地元で尊敬される存在でもある。

 もっとも、より小規模なスタートアップを可能にしたアプリのエコシステムもアップルが作ったものであり、クラウドやソーシャルが苦手と揶揄されるアップルは、より大きな青写真を描いてプラットホームを作るのが上手だ、とも言えるかもしれない。

 そのアップルは、「Macは今後も続く」としている。

筆者は「スイッチ組」

 アップルのMac30周年ウェブサイトでは、30周年を記念するコンテンツが多数掲載されている。様々なクリエイターへのインタビューや、30年間のMacの歴史、発売されてきたMacを振り返ることができるデジタルミュージアムのような作りだ。その中で、我々ユーザーが、いつ、何のためにMacを使い始めたのか、を投稿することができる。

 筆者は中学生になる際の1993年に父親のすすめでコンピュータを使い始めることになった。パソコン雑誌を買いあさり、秋葉原に足繁く通って、NECのPC-9821とアップルのMacintosh LC520の2つに絞ったのを覚えている。どちらも白いボディの一体型で、入門機にはぴったりだったが、日本のソフトの充実度から前者を選んだ。