ここで改めて、エルニーニョ現象についておさらいしておきたい。気象庁ホームページの説明では、エルニーニョ現象とは「太平洋赤道域の日付変更線付近から南米のペルー沿岸にかけての広い海域で海面水温が平年に比べて高くなり、その状態が1年程度続く現象」を指す。

 補足すると、太平洋赤道域東部の海面水温は上昇し、西太平洋やインド洋付近の海面水温は低下し、海流や海風に変動が起こることで、世界の気象に大きな影響を及ぼすことになるのだ。

「エルニーニョ現象の影響を受けて、太平洋高気圧の北への張り出しが弱くなり、特に北日本は低温が続いて冷夏になりやすいです。一方で東日本は平年並みで、西日本は平年並みかやや暑くなる傾向にあります」(鈴木氏)

 暖かく湿った太平洋高気圧は、勢力が強まると晴れて蒸し暑くなり、勢力が弱まると雨が降って肌寒い日になりやすい。

 さらに鈴木氏は、「南側からは湿った空気、北側からは動きの遅い寒気と、タイプの異なる空気がぶつかることで、大気の状態が不安定になりやすい」とも指摘する。

「6月初旬時点で熱中症に倒れて運ばれた人もいます。暑さに十分注意を払うことはもちろん、南からの湿った空気が運んでくる梅雨末期のゲリラ豪雨には警戒していただきたい。気温が高くなればなるほど、豪雨は起こりやすくなります」(鈴木氏)

冷夏は主に北日本でそれ以外は猛暑?
今年度のGDPを押し下げる要因にも

 この話を聞く限り、梅雨入り前のゲリラ猛暑も今夏の冷夏予想も、主にエルニーニョ現象の影響によるものと考えれば、合点が行く。「梅雨入り前の猛暑は、例年よりも太平洋高気圧の張り出しが弱いため、そのへりに沿って暖気が流れ込み、大陸からの低気圧との間で発生した現象」と指摘する報道もある。

 一方で盛夏については、エルニーニョ現象によって太平洋高気圧の張り出しが弱くなれば、順当に考えて冷夏になる可能性は高いというわけだ。

 ただし、ホッとしてばかりもいられない。前述の鈴木氏の話にもある通り、冷夏になるのは主に北日本。それ以外の地域に住む人々は、例年並みの暑さに苦しめられる可能性がありそうだ。