2013年は、猛暑、台風、豪雨、竜巻など、様々な気象災害に見舞われた1年だった。2014年はどうなるのか、予め知り、早めの対策をとりたいと考える人も多いだろう。しかし残念ながら、現在の気象予測技術ではそれは困難だ。科学的に信頼できる根拠をもって予報を出せるのは、せいぜい数ヵ月先までに限られる。

そこで、昨年の記録的猛暑や相次いだ台風の要因は何なのか、それは近年のトレンド(傾向)なのかを分析することで、今年の注目すべきポイントを考えようと思う。また、防災気象情報について今年の改善予定なども紹介する。

夏の猛暑の主要因は熱帯の海にあり

かたひら・あつし
気象解説者/気象予報士/防災士
19歳で気象予報士の資格を取得し、大学在学中の01年秋にTBS系BS放送で「大学生お天気キャスター」としてデビュー。卒業後は日本気象協会に入社し営業・予報・解説など幅広く従事した後、08年秋にウェザーマップに移籍。現在に至る。関西を拠点に活動中。関西テレビ「スーパーニュースANCHOR」出演中。

 昨年の夏は、記録的な猛暑となった。気象庁の国内歴代最高気温を更新し、高知県四万十市江川崎(えかわさき)では41.0℃という猛烈な暑さを記録した。西日本全体でも夏の気温が戦後最も高くなり、特定の地点だけで気温が高かったわけではなく、広範囲で厳しい暑さになっていたことが伺える。

 では、今年の夏はどうなるのか。前述の通り、1月の現時点では分からない。これから春にかけての注目すべき点は、日本のはるか南、熱帯の海面水温である。昨年の記録的な猛暑の主な要因はここにあったのだ。

 昨夏の猛暑の直接的な原因は、盛夏をもたらす「太平洋高気圧」「チベット高気圧」両者の勢力が強かったことが大きい。そしてこれら2つの高気圧が強かったのは、フィリピン~インドネシア周辺の海面水温が平年より高かったことが一因である。この海域で海面水温が高いと対流活動が通常よりも活発になり(積雲などの雲が発生しやすい)、これにより日本付近の上空を流れる偏西風を北へ押し上げるなど、上記2つの夏の高気圧の勢力拡大を助長することにつながるのだ。

 現時点での予測計算結果によると、少なくとも3月頃まではこの海域での海面水温は平年より高い状態が続く見込みで、これが夏まで続くとなれば今夏も猛暑になる可能性がある。ここ5年程度の夏の気温を振り返ると、夏~秋にかけて気温の高い年が比較的多い傾向だ。猛暑の夏となれば、熱中症による事故が急増するなど、私たちの日常生活に大きな影響が出ることは言うまでもない。連日の厳しい暑さは、ひとつの「気象災害」と言える。3~4月頃になれば夏の気温がある程度高い信憑性で予測できるようになるので、今後発表される季節予報に注目しておいていただきたい。