人気番組『情熱大陸』(毎日放送製作毎週日曜日よる11時からTBS系列で放送)のプロデューサーは、“伝え方”をどう考えているか。58万部を超えたベストセラー『伝え方が9割』の佐々木圭一氏と、初めての著書『情熱の伝え方』が話題になっている『情熱大陸』のプロデューサー福岡元啓。二人の対談をお届けします。(取材・構成/上阪徹 撮影/安達尊)
伝え方は、人にとって永遠のテーマ
福岡 実は昔からそうなんですが、僕は、いまでも会社ではロクにしゃべらないんです。今日の対談は、会社で2日分か3日分くらいしゃべっていますね(笑)。社内では、もうほとんどしゃべらないです。だから、3代目プロデューサーからは「こいつ、しゃべらないプロデューサーですから」と紹介されたりもしました(笑)。
佐々木 そうなんですか。
福岡 でも、「顔によく出る」と言われます(笑)。何かを「やれ」と言ってやらせるのと、「なんとかやってもらえませんか」と言ってやってもらうのと、結局、ゴールは一緒ですよね。ただ、芸風に違いがある。
おそらく、僕も使い分けているんだと思います。人によって、画一的にはやっていないですが。ただ、これが億劫になってくることがあるわけです。「もう、そんなのは、どうでもいい」というときは、使い分けなんかできなくなるわけですね。
そういうときにどうするか。あるときアドバイスをもらったのは、「別にそんなふうに言わなくたって、顔に出ているから、相手にはわかるよ」ということでした。だから、伝え方って、言葉だけじゃないですよね。
もしかしたら、無意識に表情に出ちゃってるかもしれないし、態度とかにも出ているかもしれない。まぁ、出ないにこしたことはないと思うんですけど(笑)。
だからこそ、伝え方というのは難しい。「相手のことをどれだけ察知できるか」ということも問われてくるから。それを考えたら、人にとって永遠のテーマかもしれないですね、伝え方は。
佐々木 福岡さんの、あまり話さないのに、いいモノができてしまう理由が、僕は知りたいですね。
福岡 いいモノができているかは、正直わからないです、自分でも。ただ、最初の段階を一番丁寧にする、というのはあるかもしれないですね。『情熱大陸』でも、最初の段階に「こういう感じでやりましょう」という、ある種コアな部分を決めておいたら、あとはどうなってもいい。そのくらいの思いはありますね。
逆に、最初の段階の認識に差があると、いつまで経っても溝は埋まらない。だから、初手をけっこう大事にしているのかもしれないです。