しゃべり続けるな。間をうまく使え
福岡 たしかに、アメリカ人はもともとコミュニケーションが上手、というイメージがありますね。
佐々木 だから、日本人にもできるはずだと僕は思っているんです。日本人には、学ぶ力がすごくある。なでしこジャパンは、数年前に世界一になりましたが、日本人が世界一運動神経がいいのかというと、そんなことはないですよね。
そうじゃなくて、学ぶ力が技術としてあって、それこそが、日本人の強さなんじゃないか、と。それこそ、「板に付けていく」ことが、実はうまいのが日本人なんじゃないかと思うんです。
福岡 日本人はこれまで、日本国内で完結できていた、というのも大きいかもしれないですね。でも、これからはしっかりコミュニケーションしていかなければ、グローバルでは伝わっていかない。それも含め、コミュニケーションをしっかり学んでいったほうがいい、と。たしかに、そうかもしれないですね。
僕自身は、プロデューサーとしてプレゼンテーションを受ける機会が多いんです。僕は、自分はプレゼンテーションはめちゃくちゃ下手だと思っていて、自分でやったら絶対できないんですが、受ける側だから、わかることがあるんです。
それは、受け手の状況をちゃんと把握しないといけない、ということです。相手に聞く準備はできているか、相手は何を考えて、感じているか、それがわからないままでいたら、いいプレゼンテーションはできないですよね。実際、とにかく延々としゃべり続けられることもあるわけです。いろんなことを伝えたいから。
伝えたいと思って、いっぱい情報を送り出す。でも、これこそが伝わらない原因になることもある。こちらの思いを、無視してしゃべっているだけなんですから。思いが少しでも想像できたら、プレゼンテーションは変わっていくと思うんです。
これは『情熱大陸』のナレーターの窪田等さんがよく言われるんですが、大事なのは間なんですよね。伝えようとすればするほど、むしろ隙間を空けたほうがいいときもある。そういう間が、やっぱり大事なんですよね。これも相手に寄り添う、ということだと思うんです。
佐々木 そうですね。6年後、日本にはオリンピックがやってきます。日本はもっともっと注目されるでしょうし、いろんな意見も求められるようになるでしょう。
スタジアムの建設もスタートしているでしょうし、注目もされるでしょう。でも、ハードはもういいと思うんです。それよりも、ソフトがまだまだ注目されていない。その最たるものが、コミュニケーションです。
もともとソフトは、日本人は苦手です。これを「センスだ」と言ってしまったら、もうどうしようもない。だから、あえて「コミュニケーションは技術だ。学べるんだ」と知ってもらえたら、オリンピック後も、日本が元気でいられる、ひとつのきっかけができるんじゃないかと思っているんです。
福岡 そうですね。僕も学ばせてもらったんですよね、番組に。『情熱の伝え方』を読んでもらえばわかりますが、もともとスーパーマンでもなんでもないんですから。でも、まわりにいるキャラの濃い人や、一流の人たちに学ばせてもらったおかげで、今も大きな仕事をやらせてもらえているのだと思っています。
すごい人でないと、大きな仕事はできないのかといえば、まったくそういうわけじゃない。まわりに学ぶことで、いろんなことができるようになるんですよね。
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◆「伝え方が9割」バックナンバー
第1回 無理めな、あの人に デートOKをもらうコトバとは??
第2回 チカン多発地域!ある看板をつけたら チカンが発生しなくなった、そのコトバとは??
第3回 困った自転車放置!ある看板をつけたら放置がなくなる、そのコトバとは?
第4回 子どもが言っても勉強しない!言い方を変えたら、勉強をはじめたそのコトバとは?
第5回 いままで伝えることが苦手だった人のほうが、この方法で劇的に人生が変わる【本田直之×佐々木圭一】(前編)
第6回 伝える技術って、相手のことを想像する技術でもあるんです。【本田直之×佐々木圭一】(後編)
第7回 「相手のことを想像して伝える」それが、この本に書いてあるすべて【姜尚中×佐々木圭一】(前編)
第8回「心」という小説を書くことで、亡くなった息子に近づきたかった【姜尚中×佐々木圭一】(後編)
第9回 なぜDJポリスの伝え方が、群集を動かしたのか?そこに使われていた「伝え方のレシピ」。
第10回 DJポリスが伝え方で使った「チームワーク化」。これを使えば動かない人も動く。
第11回 実は隠れコンセプトは「相手のことを想像する技術」【元スターバックスコーヒージャパンCEO・岩田松雄×コピーライター・佐々木圭一】(前編)
第12回 上司は、自分が上司にやっていることを部下にも同じように求める【元スターバックスコーヒージャパンCEO・岩田松雄×コピーライター・佐々木圭一】(後編)
第13回 伝え方を身につけたら、日本企業は強くなる【サイバーエージェント藤田晋×佐々木圭一】(前編)
第14回 技術者こそ、伝え方の技術を学べばいい【サイバーエージェント藤田晋×佐々木圭一】(後編)
第15回 自分を世の中にどう伝えていくかが重要なこと、みんな肌で感じ始めてきてる【しずる村上×佐々木圭一】(前編)
第16回 世の中のいい言葉には、法則がある【しずる村上×佐々木圭一】(後編)
第19回 「あ、これは本物の本だな」と思ったんです【佐々木圭一×鈴木おさむ】(前編)
第20回 ほんのちょっとのサービス精神が、奇跡を生んだりする【佐々木圭一×鈴木おさむ】(後編)
第21回 【第1回】就活も、伝え方が9割 編
面接官のことを想像する
第22回 「小林さんが憲法を読んで伝えるというのは、まさに伝え方のギャップ法ですね」【小林麻耶×佐々木圭一】(前編)
第23回 「学べば“強い言葉”は誰でも作れます」【佐々木圭一×小林麻耶】(後編)
第24回 「相手の立場になって、考え抜いているか」【佐々木圭一×小西利行】(前編)
第25回 「伝え方を伝承するためにも、コピーライティング学を作りたい」
【佐々木圭一×小西利行】(後編)
第26回 なぜAKB総選挙で名言が生まれるのか?『伝え方が9割』佐々木圭一が解説!
第27回 「この先生の話は面白く聞けるのに、どうしてあの先生の話は眠くなるのか」【佐々木圭一×坪田信貴】(前編)
第28回 「1時間叱り続けることはできるのに、1時間褒め続けることができない日本人」【佐々木圭一×坪田信貴】(中編)
第29回「「父親が娘に嫌われないためにやることとは?」【佐々木圭一×坪田信貴】(後編)
第30回 テレビの取材現場で学んだのは「花束とナイフを両方持つ」でした
【佐々木圭一×福岡元啓】(前編)