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アマゾン独自開発のスマホに施された
「ネット商人」的仕掛けをどう見るか

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第301回】 2014年6月25日
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 つまり、ファイアーフライとは物理的なモノと、映画や音楽のようなエンターテインメントのデジタルコンテンツの両方を認識する不思議な機能というわけだ。ここにも、アマゾンのギークさが現れている。

 ファイアーフライのボタンはカメラ機能へのアクセスも兼ねていて、実際に撮影すると、その画像はアマゾンの無制限のクラウドストレージへ無料で保存される。このサービスは注目ポイントだ。

アマゾン経済圏に完全に取り込まれる?

 さて、この不思議なファイアーフライ機能は、ファイアーが「単なるアマゾンのショッピングデバイス」ではないかと批判されている部分でもある。何でもかんでもアマゾンのショッピングやサービス利用に直結するからだ。

 アマゾンは、ファイアーの購入者にはプライム会員を1年間無料で提供しており、ファイアーでさらにアマゾンのディープなユーザーになってもらおうという目論みだ。プライム会員は、オンラインショッピングの商品を無料でスピーディーに配送してもらえるほか、無料でデジタルコンテンツを多数楽しめる特典がついている。

 もうひとつ、ファイアーの価格に期待はずれを感じた人々は多かった。ファイアーはAT&Tの2年間契約つきで199ドル。アマゾンは32GBで、他社の16GB並みの値段であると謳っているが、最近の100ドルを切るような激安のスマートフォンの登場を考えると、決して安い値段ではない。

 ダイナミックパースペクティブのような機能を付けなければもっと安価になったのではないかという声も聞かれ、利用方法がいまひとつよく見えないダイナミックパースペクティブが、過剰スペックとみなされるか、それともこれまでのスマートフォンの操作作法を変える画期的機能となるかは、発売を待たなければわからない。

 それにしても、おもしろい新製品がスマートフォンに加わったことは確かだ。これが吉と出るか凶と出るか。7月25日の発売が楽しみである。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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