大きく伸びる賃貸用住宅着工数
背景に節税対策と田舎の“お屋敷”問題

 6月30日、日本経済新聞1面に「賃貸住宅 建設が急増」という記事が大きく掲載された。これによると、持ち家は4月分の住宅着工戸数が前年同月比16.1%減、分譲住宅は消費税の影響が出て7.8%減だった一方で、賃貸住宅は12%増で14ヵ月連続のプラス、5月も増加基調にある、と書かれている。

 こうした状況を、筆者も肌で感じている。7月5~6日に新聞社が主催した「土地活用、賃貸住宅経営」をテーマにしたセミナーに、講師として呼ばれたのだが、会場はほぼ満員で、熱気に包まれていた。

 冒頭の記事によると、今年になっても賃貸住宅がプラス基調な理由として、以下の2つを挙げている。

①投資マネーが流入している
②相続税など節税を目的とした個人の投資が増えている

 ②の背景には、相続する遺産が賃貸住宅の場合、入居者の借地権などが試算評価から引かれるため、相続税の納税額が現金で相続した場合と比較して少なくて済み、節税対策になるという事情がある。

 こうした事情を踏まえて、テレビのCMなどでも賃貸住宅経営について頻繁に目にするようになり、身近なものとなった印象がある。

 40代半ばになると、自分の親は70代になり、子どもは数年後には独立する年頃になる。そんなとき、今自分が住んでいる家を家族構成の変化に合わせて変えるということも考えるべきことだが、親の住んでいる家をどうするかということも考えなければならないことだ。

 あなたの親は、今、どのような家に住んでいるだろうか。田舎に大きなお屋敷があるのではないだろうか。そして“その時”が来たときに、お屋敷はどうするのか――。

 こうして考えたときに、一つの答えとして出てくるのが、「今のうちに節税対策にもなる賃貸住宅経営に踏み切ろう」ということなのだ。

 しかし、賃貸住宅経営は成否の差が激しい。うまく経営を行い、収益をあげる人もいれば、満室にならず経営に苦労する人もいる。その違いはどこにあるのか。今回は、賃貸住宅経営の極意についてそのエッセンスをお届けする。