浮上した中国リスク

 ところが、2大市場の課題も浮き彫りになってきている。

 7月1日深夜から、まるで上場への勢いに水を差すかのごとく、中国内ではLINEなど複数のメッセージアプリのサービスが遮断される事態が発生。香港で起きた民主化デモの対処の一環として、中国当局が規制を敷いたことが原因との指摘が上がっている。

 かねて中国では、グーグルやフェイスブックといった世界的なITサービスが、政府当局の方針もあって原則利用ができなかった。LINEはこれまで自由に使えたため、「中国に駐在する日本人なども、家族や知人との連絡に重宝していた」(業界関係者)。

 17日時点でもサービスは未復旧とみられ、中国で展開する固有の難しさが浮き彫りになった。

 一方の米国では、5000万人を超えるヒスパニック系住民へのユーザー開拓に期待がかかる。攻略したスペインを“玄関口”に、同じ言語圏に属する南米やメキシコをルートにしてLINE経済圏を広げようというシナリオだ。現地では独自のテレビ広告にも投資を続けている。

 ただし、収益に結び付けるには決済システムが重要だが、ヒスパニック系のユーザーは前払いで通信費を払う「プリペイド方式」の利用も多く、有料課金のビジネスがどの程度成立するかは未知数の部分も多い。

 国別のアプリダウンロード数の順位を見ても、LINEは日本国内では15位と高順位だが、北米では179位、カナダでは233位とまだ「圏外」だ(アップアニー調べ。iOS対象、7月16日時点)。上場後にそびえる世界の壁は高い。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 後藤直義)