──後継として長年有力視されてきた、鳥井信宏・サントリー食品インターナショナル社長には今回の人事をどう伝えたのか。

 他のボードメンバーと同じタイミングでしか伝えていないが、淡々と受け止めていると思う。彼は上場も果たしたし、頑張っていると思うよ。素質も十分持っている。ただ、年も若く、まだまだ経験もない。今すぐ私の後を継ぐわけにはいかない。

 5年、10年という当面の間、信宏が新浪さんと二人で組むことも選択肢の一つだ。将来に向け新浪さんから教えを請い、成長していってくれればいい。そうして将来的にサントリーの総帥になってくれれば、こんなにうれしいことはないね。

──鳥井社長に何が足りないのか。

 成功体験だね。彼は経営で実績をまだ出していない。これという実績を社内外に示す必要がある。

 例えば国内で日本コカ・コーラを抜くとか、買収したオランジーナ、ライビーナ、ベトナムなどで実績を示すとか。そうすることで新浪さんにも社内にも、そして社会にも認められるはずだ。

──会長職からもいずれは退く?

 ビーム買収に1兆6000億円の投資をするからもうしばらくは(会長を)やるけどね。数年というところかね。

──ビーム統合のために新浪さんを選んだのか。

 統合と社長就任のタイミングが重なったのは単なる偶然。日本の人口はこれ以上伸びない。これから会社を大きくするには海外しかない。その進む方向に新浪さんは最も合った人だ。国際感覚、語学力、年齢も含め、これからサントリーが伸びていく方向に一番適した経営者だと思う。さらに、ローソンを改革し大きく成長させた点で文句のない実績もある。

──利害関係が絡む取引先からの起用は、サントリーが今後ローソンの競合小売りと付き合う中で悪影響をもたらさないか。

 これでローソンとサントリーに特別な関係ができるわけではない。たまたま白羽の矢を立てた新浪さんがローソンに居ただけ。それは(他の小売りの)皆さんにもご理解いただけると思う。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木洋子)