その日以来、臭いが気になりはじめて仕事場でミスが仕事に集中できなくなった。女の子たちが、鼻をヒクソクさせていると自分のことかと思ってしまう。そんなことにばかり気を取られていたら、大切なお客様の納品で重大なミスを犯した。なんとお祝いののし紙をかけたつもりが、不祝儀ののし紙だったのだ。そのミスをきっかけに、さらにミスを重ねてしまった。

過剰に身体を洗うことや強い香水は
加齢臭に逆効果

 このままでは仕事に支障をきたすと思ったMさんは、インターネットで見つけた汗の臭いの専門医を訪ねてみた。そこで言われた医師の一言に救われた。

 「人間は汗をかいて体温を調節しているのです。普通の反応ですよ。自分で思っているほど周りの人は臭いを感じません。どうしても気になるようであれば、市販の制汗剤を使ってみてください。自然由来のミョウバンを原料にしたものであれば、消臭効果も高く、その効果も持続します」

 診察を受けたその日から、Mさんの緊張はほぐれた。

 「この夏は、制汗剤を使おう。それでもダメなら、着替えればいい」

 以前勤めていた新宿の高層ホテルを見上げ、「気楽にいこう」と決めたら、少し元気になった気がした。

 多汗症などを専門にする五味クリニック五味常明院長は、中高年の汗に関する悩みについて、以下のように語る。

「ストレスで汗の臭いが強くなったり、加齢で汗の臭いが変わることがあります。しかし、過剰に反応しないことが大切です。人間の肌の上には、無数の常在菌がいて身体を守ってくれています。

臭いが気になるあまり、ワキ用のデオドラントスプレーを全身にかけたり、殺菌剤入りのソープでゴシゴシこすったりすると、余計に体臭が強くなってしまうこともあります。汗の臭いが気になるようであれば、みょうばん(アルム石)を原料にした制汗剤を使ってみてください。これは、足の臭いにも有効です。また、香水を楽しむ場合は、まず汗の臭いを消してからにしてください。汗の臭いをマスキングしようと強い香りをかぶせるのは、逆効果なので気をつけましょう」

(J&Tプランニング 市川純子)