モバイルデバイスによるカード決済サービスを提供するスクウェアが、レストランのデリバリーサービスを手掛ける企業「キャビア」を買収するという。買収額は明らかにされていないが、9000万~1億ドルと推定されている。
キャビアは、最近注目されているフードデリバリーサービスの1つ。サンフランシスコ、ロサンゼルス、ニューヨーク、ボストン、シカゴなどで展開するが、ことにこれまでは出前を行ってこなかったレストランの食事をデリバリーすることが特徴である。
ピザだけでないデリバリーの実現に
工夫を凝らす新興企業
デリバリーサービスと言えば、たいていピザや中華料理が定番だろう。食事のチョイスとしてはベストではないが、いながらにして出前をしてもらえる便利さには代え難いと、ユーザーが妥協してきた側面もある。最近のテクノロジースタートアップはこのデリバリーサービスに集中しているが、まさにここに工夫を凝らして新風をもたらそうというのが狙いだ。
たとえば、デリバリー可能なレストランを束ねるサービスがある。先にハンバーガーやピザなどと決心しなくても、ウェブサイトに並んだ数々のレストランの料理を見て、食指の動く料理を注文すればいいというサービスだ。これまで知らなかったレストランやメニューが選べるのが嬉しい。
あるいは、自社でキッチンやシェフを雇い、おしゃれなグルメフードや健康的なメニューを手がけているデリバリーサービスもある。この場合は、バラエティーは少なくなるが、出前でもいいものを食べているという満足感が得られるだろう。
キャビアのようなサービスは、さらにその先へ行こうというものだ。デリバリーでは風味が落ちるとか、そこまで手間ひまがかけられないとかといった理由で、これまで出前をしてこなかったレストラン、つまりはちょっとレベルの高いレストランがリストアップされている。センスのいいスクウェアとぴったりなイメージである。
ただし、なぜスクウェアがデリバリーサービスを買収するのか。センスがいいという以外に、それほど両者の間に共通点は見られないのだが、スクウェアがカード決済サービスを核として、ビジネスを多様化させている、その一環と考えればわかりやすい。