スマートフォンやタブレット端末で手軽に決済できるサービスをめぐり、各社の競争が激化している。米国の強敵参入に対し、楽天、ソフトバンクのそれぞれの陣営が迎え撃とうと抜かりがない。

 東京・神楽坂にあるコーヒー豆販売店「緑の豆 神楽坂焙煎所」。喫茶コーナーも併設した小さなこの店が今年5月、「レジを捨てる」という大きな決断をした。

スマートフォンのイヤフォンジャックにスクウェアの小型読み取り機を差し込むと、カード決済ができる。「緑の豆 神楽坂焙煎所」にて
Photo:DW
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 それを可能にしたのが、あるサービスの導入だ。それによって十数万円の専用端末なしで、クレジットカードの取り扱いが可能になった。市販のタブレット端末に専用のアプリと親指大の読み取り機を差し込んだだけでカードを利用できるようになったのだ。

 このサービスを提供しているのが、スマートフォン決済大手の米スクウェアだ。

 ツイッターの共同創業者であるジャック・ドーシー氏が2009年に設立。北米ではカード決済がしにくかったタクシーやカフェ、美容関係などに浸透し、加盟店数は400万を超え、年間の取扱高は150億ドル(約1.5兆円)に上る。クレジット業界の常識を覆すものとして北米のみならず、世界の注目を集める決済ビジネスの一大勢力にまでなった。

 何が画期的なのか。簡単に言えば、店側にとって使い勝手がよく、有利であるという点に尽きる。

 これは、店側が端末で注文を受けカードを読み取り機にサッと通し、画面上で顧客からサインをもらって決済する仕組みで、領収書すらメールで送ることができる。

 通常、カード決済となれば、カード会社へ5~7%の手数料を支払うが、このサービスは国内3.25%に抑えている。冒頭の焙煎所のように平均客単価が1000円程度の店舗には使いやすい。