新規参入相次ぐシルバービジネス

 中国が急速に高齢化社会を迎えている。老人ホームに入るために、一苦労する場面が各地で見られるようになった。すると、自然にシルバービジネスに目を向ける企業や投資家も増えてくる。

 老人ホームをはじめとするシルバービジネスに新規参入組も後を絶たない。市営、県営、村営老人ホームがどんどん誕生するばかりでなく、民間企業の運営による老人ホームも花盛りだ。老人ホーム以外の分野でも様々なビジネスが生まれてくる。コミュニティの範囲内で老人たちに食事の宅配サービスを始めた企業があれば、在宅介護にビジネスの重点を置く企業もある。

 高齢化社会の訪れに刺激され、シルバービジネスの花も咲き乱れる景観を呈している。シルバービジネスは中国でも無視できないほどの魅力をもつ事業になってきた。

 しかし、そのビジネス現場に行くと、見える景色がやや違ってくる。

 中国の南京で老人ホームなどを経営している友人がおり、かなりの規模になっている。高齢者社会の訪れで頭を痛めている地方政府からも熱烈に支持されている。しかし、順風満帆に見えるその老人ホーム事業はさまざまな問題を抱えている。若い従業員の定着率が悪い。その原因を突っ込んで確かめて行くと、給料が低すぎることが問題だという事実が見えてくる。ビジネスモデルがほとんど政府の養老関連の手当てに依存しているからだ。経営者の友人も「私の給料の金額を教えるのも恥ずかしすぎるので、具体的な額は聞かないでください。ただ言えるのは信じられない低さだ」と言う。

 それでも巨額の資金をつぎ込んでシルバービジネスに参入してくる企業がある。湖南省の赤馬湖養老山荘もその一つだ。そして、他の企業と同じように、果敢にそのビジネス分野にチャレンジしたあと、右往左往の境地に陥ってしまった。中国メディアの報道を中心に、その失敗例を解剖してみたい。