「おい、半沢――」
半沢の横で落ち着きなく巨体をもぞもぞさせ、曾根崎が青ざめている。おそらく、ここまでの直截な物言いを、曾根崎はしたことがないのだろう。
「大義より実利ですか。銀行員らしいな」
神谷は吐き捨てた。「あなた方の頭の中には、カネのことしかないんですか。私たちは、お客様の安全を預かる交通機関だ。あの飛行機には、コストだけでは割り切れないものが数多く詰まっている。そういうことも理解せず、ただ金儲けしか頭にない人間に、生きた修正案などできるんですか」
「いまは会社の再建を最優先にされるべきです」
半沢はいった。「世の中のためになれば赤字でもいいというのは間違っています」
「コスト削減の名のもとに、我々の魂までも切り捨てていく。そんな提案を、私は到底容認できませんね」
憮然として横顔を向けた神谷に、「聞いてください、神谷社長」、と半沢は身を乗り出した。
「いま御社に必要なのは、地に足の着いた、それでいて抜本的なリストラ案です。机上の空論でもなく、銀行から資金を引き出すためのゼスチャーでもない。再建のために必ずやり遂げなければならない、絶対の道しるべです。いまを逃したら、御社を救済するのは難しいでしょう。はっきり申し上げますが、御社にとっていまが──ラストチャンスです」
半沢は断言した。「もう後はありません」
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