今でこそ玉蜀黍を好物に挙げる人は多いですが、硬粒種しかない昔は、好んで食べるものではなく、雑穀扱い。

 山間部で、粒を干して粉にして、糅飯《かてめし》として米や粥に混ぜて炊いたり、餅に混ぜたり、味噌汁に入れていただくことが多かったようで、江戸時代初期に刊行された『本朝食鑑』にも、「玉蜀黍は煮たり粉末を餅にして食べる」と書かれています。

玉蜀黍の天麩羅
【材料】玉蜀黍…2本/卵…1個/冷水…1カップ(200ml)/小麦粉…1カップ/揚げ油…適量/塩…適量
【作り方】①玉蜀黍は皮を剥いてヒタヒタのお湯で10分程度茹でるか、ラップにピッチリと包んで5~6分電子レンジで加熱したら、粒を庖丁で削ぎ落とす。②ボウルに冷水と卵を入れてよく混ぜてから、ふるいにかけた小麦粉を混ぜ、揚げ衣を作る。③1に2を混ぜて大さじですくい、180℃に熱した油で1分程度揚げる。油を切り、塩を添える。

 粉にするのは面倒なので、そのまま茹でていただくこともありましたが、茹で時間が長くかかる上、硬くて美味しくなかったことは想像に難くありません。

 筆者は常々、浮世絵に度々描かれた玉蜀黍なのに、ついぞ料理書の素材として見かけたことがないことを不思議に思っておりましたが、これで合点がゆきました。

 玉蜀黍は、貧しさゆえに仕方なく食べていたものだったのです。

 硬粒種は手に入りづらいため、今回ご紹介するレシピでは甘味種を使っておりますが、江戸の人々は数段不味い玉蜀黍を食べていた、と思ってください。

玉蜀黍餅
【材料】もち粉…50g/御飯…50g/コーングリッツ…大さじ3/水…適量/塩…少々/醤油…適量
【作り方】①ボウルにもち粉とコーングリッツと塩を入れて水を少しずつ注ぎ、耳たぶ程度の固さになったら濡れ布巾に包んで15分ほど蒸し、ご飯を加えてよく混ぜ、丸餅の形に丸める。②焼き網、またはテフロン加工のフライパンで1を両面焼き、醤油を塗りながらさらに焼く。