やりたくないことほど、継続するのは難しいものです。しかし、人は「繰り返すうちに好きになる」という心理的メカニズムを持っています。この「単純接触効果」を活用すれば、苦手意識のあることも自然と習慣化できるようになります。話題の動画「50歳でも記憶力はアップ!加齢に勝てる脳トレ法」を公開した池田義博氏は、日本記憶力選手権大会で6回優勝。試験・資格・英語・ビジネスなど、あらゆる場面で結果を出すためのメソッドを紹介します。※本稿は、著書「世界記憶力グランドマスターが教える脳にまかせる勉強法」の一部を抜粋しました。
やる気が出ないことを「好き」に変える単純接触効果
好きなことをするのであれば、当然それは楽しいことなので、内側からモチベーションが高まり、自然と打ち込むことができます。その結果、それに携わっている時間は効率・パフォーマンスの質の両面でも、非常に密度の濃い時間にすることができます。
しかし、人間好きなことばかりやっていられるわけではありません。必要にせまられて仕方なくやらなくてはならないものも存在します。
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たとえば、それは健康のために必要なエクササイズであったり、仕事上どうしても欠かせない語学等の資格試験の勉強だったり、学生であれば普段の勉強という人もいるかもしれません。
どうしてもそういうものは先延ばしにしがちです。たとえ始めたとしても、気が乗っていないと、その時間の効率はよくないでしょう。
私の話になりますが、記憶力日本一になった後、国際大会に出場することを決めたため、英語をブラッシュアップしなければならなくなりました。
しかし、記憶力自体が向上して大会の成績に結びつくわけではないため、最初は乗り気ではありませんでした。
それでも大会の運営はすべて英語であり、また現地での海外選手との情報交換が自分の記憶テクニックのレベルアップには非常に重要なので、「英語学習が大好き」とまでは言えないまでも、せめて、いやいやではなく、あわよくば好きになることができないものかと考えたのです。
そして利用したのが「単純接触効果」という心理法則でした。
接触回数が増えれば、習慣化できる
これは、アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスが提唱したもので、何度も繰り返して接触するものは、好感度や評価等が高まっていくという効果です。
それからは毎日できるだけ英語に触れる機会を増やす工夫を取り入れました。英単語も単語帳ではかさばって持ち運びに不便なためスマートフォンアプリを利用したり、飽きないようにゲーム性のあるアプリも使ったりしました。
さらに、接触機会を増やすためにオンライン英会話のレッスンなども契約して毎日の日課にしました。すると、徐々に英語学習が好きになってくるから不思議なものです。
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単純接触効果が起こる理由の1つとして、対象が今回の学習のような場合、何度も繰り返すことにより、処理がしだいに容易になっていくことが「快感情」をもたらすということがあるようです。
•とにかく対象との接触回数を増やす
•処理が容易になってくる
•単純接触効果により対象が好きになってくる
•好きなことなのでやる気が出る
•習慣化されてさらに接触回数が増える
このような持続的モチベーションサイクルができてしまえば完璧です。








