芸能リポーター歴28年の井上公造による、10万人の取材で得た“28”の心理術をレクチャーする初のビジネス書『一瞬で「本音」を聞き出す技術』。この本が生まれたきっかけは大人気予備校講師・林修とのテレビ番組での共演があったから。2人の「本音」対談を、お届けします。(取材・構成/蓮池由美子 撮影/熊谷章)
この出会いが本の始まりだった……
林 今日は、夏期講習から駆けつけて参りました!
井上 ありがとうございます! 先生は今、まったく時間が取れないと聞いていたので、対談は無理だと思っていました。
1年前に、林先生の冠番組「林修先生の今やる!ハイスクール」(テレビ朝日系)に講師として出演させていただきました。あのとき、「聞き出し術」をレクチャーしたことがきっかけで、この本をつくることになったんですよ。
林 そうだったんですよね。実はそのお話を聞いたとき、僕はとても嬉しかったんです。「林と仕事をしてまた次の展開があった」と聞くと、心底良かったなぁと思うんです。
井上 以前、僕は新聞記者をやっていましたし、今も連載コラムを書いたりしているので、もともと「本を書く」ということに興味があったんです。
だけど、「ちゃんとした本を書くなら60過ぎかな?」と。これまでにもいくつかお話はいただいていたんですけど、いずれも「芸能界の暴露を書いてください」というものばかりで……。でも暴露系は、逆に「今じゃないでしょ?」と (笑)。
林 そうですよね。「今でしょ!」じゃなく、風化したときにこそ書けるものですよね。何を書いても笑って許してくれるときがこないと……。
井上 今回は実践本ということで、「少しでも誰かのお役に立てるのなら……」と、挑戦してみたんです。でも、普段の僕にとって、若いディレクターに説教じみたことを言うことはあっても、本としてメッセージを残すなんて、考えたこともなかったんですよ。
林 本を読んで、28年という長い歳月を、第一線でやってこられた井上さんの明確な方法論が記されているなと感じました。「なるほどな」と共感することもたくさんあったし、ただ職種が違うので、「あっ、ここは僕と反対だな」と逆に新鮮さもありました。