学習塾・予備校市場は縮小を続け、業界再編は加速する一方だ。現在の主戦場である小中学生向け学習塾市場での、“勝ち組”“負け組”の二極分化は明らかで、さらなる再編が待ち受けている。

 昨年9月、上場学習塾最大手の栄光(現・栄光ホールディングス)の筆頭株主の座は、創業者の株式売却により、非上場最大手のさなるが電撃的に奪取した。かたや栄光はそれまで筆頭株主だった増進会出版社(通信添削「Z会」の持ち株会社)に、実質的な買収防衛策として第三者割当増資を実施、業界初の敵対的M&Aの幕開けとなった。

 それから半年、さなるが保有していた栄光株は今年、栄光と友好関係にある上場学習塾の進学会に売却され、その間にさなるは進学塾「名進研」を展開する教育企画を買収した。また、昨年に学研ホールディングスと包括的業務提携を結んだ市進ホールディングスは今年9月に幼児教育で知られる桐杏学園を買収している。

 淘汰・再編がほぼ一巡した予備校業界に目を転じれば、代々木ゼミナールは昨年SAPIX小学部を買収、前年に買収したSAPIX中等部・高等部と併せて、小中高一貫体制を築いた。SAPIXのライバルである四谷大塚は「東進ハイスクール」で知られる予備校のナガセに買収されているし、日能研は河合塾と事業提携しており、予備校御三家と中学受験御三家が垂直統合の関係を築いている。

 前出の増進会は栄光以外にも、上場大手の市進、ウィザス、上場中堅の学究社の大株主だ。そして増進会のライバルであるベネッセホールディングスも、上場大手の東京個別指導学院を買収し、上場中堅のアップの大株主でもある。

 まさに学習塾・予備校業界は異業種も巻き込んだ業界再編の真っただ中にあるのだ。

 学習塾・予備校業界を再編に突き動かしているのは市場縮小だ。 

 不況に強いとされてきた教育産業だが、学習塾・予備校市場は、直近のピークである2002年度から縮み続け、約1割減の状況にある(図①左側)。

 学生人口は過去10年で高校生の2割減を筆頭に減少が続き、市場の構成比(図①右側)は、中学生市場が7ポイントも縮小しており、現在の激戦区は中学生、つまりは学習塾である。

 淘汰・再編が学習塾業界より早く進んだ予備校が、いち早く垂直統合に動いたのも「小学生、中学生という将来の顧客を囲い込むことで、学習塾・予備校市場における規模とシェアの拡大を目指した生き残り策」(大手予備校首脳)である。それは、通信添削会社2社にも共通することだ。

 むろん、少子化さらには長引く不況で市場は縮み続けているが、すべての学習塾が生徒減に直面しているわけではない。