乙武洋匡氏は古田敦也氏の手を借りて氷水をザブーン。後方の車いすの男性がEND ALSの創始者・藤田正裕氏 Photo:DOL

 両者が21日に東京タワー前で催したキャンペーンには、元プロ野球選手の古田敦也氏、作家の乙武洋匡氏、楽天社長の三木谷浩史氏など多くの著名人が参加して、頭から勢いよく氷水をかぶって見せた(一方、詰めかけた多くの報道陣は会場のアスファルト熱もあって、こちらは汗でびしょ濡れ状態だった)。

 今やネット上には、毎日、だれが氷水をかぶり、こう発言したという情報が溢れかえっており、「芸能人の売名行為」、「患者の本当の気持ちは伝わらない」といった趣旨の批判も出てきている。

難病はALSだけではない
実は130種類も難病に指定

「ALSバケツチャレンジ」のブームが、示しているものはなんだろうか。

 弁護士ドットコム編集長で、ネットメディアに詳しい亀松太郎氏はその伝播力のすさまじさを指摘する。その要因には、まず氷水か、寄付かという単純に「おバカ」ができる楽しさ、さらに後継者を指名するという連鎖販売取引にも似た仕掛けが挙げられるだろう。そこに社会的に影響力のある人々が加われば、ネットを介して短時間で世界的に運動が広がっていくことを示した。ちなみに選挙違反で問題となった医療法人・徳州会の徳田虎雄前理事長もALSで、その認知向上に尽力したが、今回ほど認知は広がらなかった。

 一方で、「何もせずただ批判するより、ともかくも行動する人が評価されるべきだ」ということは理解できても、多くの人が言葉では言い表しがたい「違和感」を覚えるのはなぜだろうか。これに明確な答えはない。ここでは「チャリティ活動を利用した売名行為の臭いを感じる」といった、ありきたりの批判ではなく、議論の広がりと深さ、運動の継続性という視点で考えてみたい。それにはメディアの報道姿勢も大きく関連する。

「ALSバケツチャレンジ」によって、ALSという難病に対する認知度は大きく高まった。難病とは医学的な用語ではなく、厚生労働省の用語では「特定疾患」という。簡単に言えば、原因が不明で、治療法が確立されておらず、患者本人や家族に介護や精神的な負担が大きい病気のことである。実は、厚労省が臨床調査研究分野の対象としている特定疾患は、ALSを始めパーキンソン病など、なんと130疾患もあるのだ。「ALSバケツチャレンジ」はこうした難病にも目を向けてもらう契機にもなりうるはずだ。