考えねばならない。自衛の意識の弊害とそのメカニズムを

 アメリカで2012年に起きたコネティカット州の小学校乱射事件では、20人の児童と六人の教員が殺害された。その場で自害した犯人は、自宅で銃の持ち主だった自分の母親も殺していた。犠牲者追悼集会に参加したオバマ大統領は、再発防止に全力を挙げると決意を表明した。つまり銃規制だ。その後もアメリカでは、ほぼ毎週のように学校で銃の事件が起きているけれど、銃規制はいまだに実現していない。

 その大きな要因は、銃規制に反対する全米ライフル協会の存在だ。コネティカット州の銃乱射事件のあと、全米ライフル協会副会長は、「銃を持った悪人に対抗できるのは銃を持った善人だけだ」と発言した。全米の学校に銃装備した警察官を配置せよとも。多くのアメリカ国民はこの発言を支持して、事件後には銃を購買する人が急激に増加している。

「銃を持った悪人に対抗できるのは銃を持った善人だけだ」に同意する日本人は少ないはずだ。バカじゃないかと思う人が大半だろう。でもこの思想は実のところ、世界的なスタンダードでもある。

 軍隊の存在理由だ。

 我が国は他国に侵略などしない。でも世界には悪い国もある。その悪い国の軍隊が攻めてきたときのために、我が国は軍隊を常備する。兵器を所有する。

 つまり抑止力。自衛を理由にガザへの攻撃を続けるイスラエル軍隊の正式名称は国家防衛軍だ。アメリカはペンタゴン(国防総省)でイラクも国防軍。中国は人民解放軍で北朝鮮は人民軍。要するに世界中の軍隊は専守防衛だ。他国への侵略を目的とした軍など存在しない。でも誤射や乱射は起きる。その結果として戦争が起きる。だから考えねばならない。自衛の意識の弊害とメカニズムを。