Photo by Yoshihisa Wada
インバウンド売上高と国内の景気回復によって好調を維持する百貨店業界。高島屋では2026年、2店舗の閉店を断行する一方で、成長戦略に金融関連のサービス強化を掲げている。特集『総予測2026』の本稿で、村田善郎社長にその意図と26年の展望について話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)
国内外の店舗で連携を強化し
顔の見えるインバウンドを目指す
――2025年はインバウンド売上高が引き続き良く、業績は好調でした。
インバウンド売上高は25年、前年の反動で4~5月はかなり落ち込み、為替の影響も受けました。今年前半は物価高の影響もあり、消費の力強さはあまり感じられなかったのですが、日経平均株価が好調に推移したことから、夏以降から消費が動きだしている印象です。
中国からのお客さまについても、10月の国慶節は好調で、1日約2億円で組んでいる予算を大きく超え、倍以上の売り上げがありました。ただし、26年2月の春節がどうなるかは読めない状況です。
――インバウンド売上高は為替相場の影響などでぶれます。維持するためにどのような対策を取りますか。
顔の見えるインバウンドを目指しています。当社は海外に4店舗あり、特にシンガポール高島屋は現地で1番店です。25年はシンガポールの上位顧客2500人に日本の店舗に来店いただいた場合の特典をご案内しました。
例えば、免税手続きのファストパスや、日本語通訳を付けたアテンドなどです。26年はさらに対象を広げ上海、バンコク、ホーチミンの各店のお客さまにご案内して、合計1万人に達する予定です。シンガポール店でご案内して訪日されたお客さまの単価は、通常の2.3倍になりました。
基本的に、当社の海外店舗と国内店舗を訪れたお客さまに、シームレスにサービスを使っていただけることを目指しています。同じ高島屋なのに、日本の店舗で買い物をしてためたポイントがシンガポールでは使えない状況はなくしていきたいと思っています。
そうはいっても、やはり為替相場の影響でインバウンド売上高にはぶれが出ます。そこで、国内のお客さまのニーズにお応えできる商品やサービスをそろえることが、やはり大切になってくると思っています。当社では成長の柱を三つ掲げています。一つ目が次世代SC(ショッピングセンター)の推進、二つ目が海外事業、三つ目が金融事業です。
――大手百貨店の中で金融事業の強化を重点施策に掲げているのは、高島屋だけだと思います。25年の成果と今後の見通しは?
高島屋は26年、中期経営計画の最終年度を迎える。これまで取り組んできた金融事業の成果が期待されているが、どのように見通しているのか。次ページでさらに話を聞いた。







