予備校文化の終焉

 前述したように、代ゼミには私大文系のイメージがある。

 22日深夜、毎日新聞がこの代ゼミ撤退の情報をまず流した。私のところには毎日新聞をはじめ、これまでに5つの新聞、6つの雑誌から取材の電話が入っている。

 電話をしてきた記者たちは、一様に、

「私も代々木ゼミナールには浪人時代にお世話になりまして……」

「私は河合塾だったのですが、弟が代ゼミに通っていて……」

 といった具合に切り出してくることが興味深かった。

 ある雑誌の編集長は、

「代ゼミといえば大きな教室がいっぱいになるイメージだったのに校舎閉鎖ですか」

 と驚きを隠せなかった。

本部隣の旧校舎跡は「ミスチル」で一世を風靡した小林武史氏プロデュースの飲食街に

 無理もない。今の40代から50代前半は予備校世代である。河合塾も代ゼミも、予備校文化を形成してきたのだ。自分たちがお世話になった予備校隆盛期のイメージはなかなか抜けるものではない。中には、

「えっ、もう予備校生はいないんですか」

 といった驚きの声も聞いた。

 時代は少子化であり、AOや推薦といった非学力型選抜試験で大学入学を果たす層も多い。全入時代ゆえに、あくせくと勉強をして大学に入るような層は、マイノリティに近いものがある。特に私大文系は、格段に入りやすくなったので、難関私大を狙う一部を除けば、現役時代にわざわざ予備校などに通わなくても済む。それが今回の校舎撤退に結びついた。これから先、模擬試験を展開しても事業としてうまくいかないと判断した一因でもある。