日本の大手大学進学予備校がリストラの時代に突入した。8月27日付日本経済新聞の電子版に掲載された田中陽編集委員の「本当だった代ゼミの『都市伝説』」によると、「親身の指導」「日日是決戦」で知られる代ゼミが全国に27ヵ所ある校舎を7ヵ所に減らすことになった、という。前日の同紙にも、「代ゼミ 希望退職400人」という記事があった。

 この代ゼミの大リストラというニュースに接して、「30年以上前に模擬試験や講習、代ゼミ講師が作成した参考書などでお世話になっただけに一抹のさみしさを覚える」田中編集委員は、「これから『母校』はどうなるのか」と思い巡らすとともに、閉鎖した後の校舎や土地は何に使われるのか気になってしまった、としばらく感傷に浸っていたようだ。

 同氏の話によると、「筆者が学生時代の代ゼミの教室は学生で立錐(りっすい)の余地もないほどの混みようだったことを覚えている。模試でも詰め込みすぎで隣の学生の解答用紙がまる見えだった記憶がある」というほどの混雑ぶりだった。

中国版少子化の波が容赦なく襲う

 少子化の波が大学進学予備校の教室にまで打ち寄せてきていると見ていいだろう。実は、これは日本に限った社会現象ではない。若年層が大幅に減っている中国社会の隅々にも中国版少子化の波が容赦なく襲ってきている。たとえば、中国版専門学校・短期大学とも言える「高職高専」の学生募集がいまや悲惨な状態に陥っている。

 中国では、高等職業教育を実施する教育機構である職業技術学院、高等専科学校を略して「高職高専」と呼ぶ。修業年限3年が大半である。専門性から見れば、日本の専門学校に近いが、学歴的には、短期大学に近い。4年制大学と比べて、聞こえも見栄えも落ちる。だから、多くの高職高専が4年制大学への変身を熱望している。

 しかし、中国が世界の工場となってからは、高職高専卒の学生はむしろ二流三流の4年制大学卒よりは就職しやすく、給与の面でも上回っているケースが多い。そのため、一部の高職高専もかなり人気を得ている。ここ10年くらい、中国の大卒にとっては就職の氷河期と呼ばれるほど就職難の時代が続いている。しかし、数年前に私は訪問先の江蘇省常州市で、とある高職高専の責任者から、うちの卒業生は平均して1人に8社の就職オファーが来ていると教えられ、その人気ぶりに驚きを覚えた。