会社に中長期ビジョンなんて必要ない？

編集部 さて、それぞれにどん底からの再起を経験されているお二人ですが、「成功」とは何だと思われますか？

堀江 ああ、またそういう質問。そういうの興味ないね。考えても意味ないから。

杉本宏之（すぎもと・ひろゆき） [起業家]
1977年生まれ。高校卒業後、住宅販売会社に就職、22歳でトップ営業となる。2001年に退社し、24歳でエスグラントコーポレーションを設立。ワンルームマンションの分譲事業を皮切りに事業を拡大し、総合不動産企業に成長させる。2005年不動産業界史上最年少で上場を果たす。2008年のリーマンショックで業績が悪化、2009年に民事再生を申請、自己破産。その後再起し、エスグラントに匹敵する規模にグループを育て上げた。2014年7月、復活を果たしたのを機に著書『30歳で400億円の負債を抱えた僕が、もう一度、起業を決意した理由』を刊行した。

杉本 経済的に余裕があって、家庭が平和であれば成功かというと、本人は「まだまだ」と思っていたりするわけで。人それぞれ、幸せの尺度も違いますからね。

堀江 だから、そんな面倒なことは考えない。考えても気持ちよくないでしょ。

杉本 僕自身、業績を求めて破綻を経験して、いったい、人間はどこまでいけば満足できるのかと考えたこともありますけど。

堀江 どこまで行っても満足なんてできないですよ。そんなことより、今日の晩ご飯のことを考えるほうがいい。

杉本 たしかにその通りですね。ただ、事業を進めていく上では、中長期ビジョンを描かなきゃいけないときもありますよね。

堀江 いや、描かなくていいでしょ。何のために必要なの？

杉本 僕の場合、事業の中心が不動産ビジネスで、ある程度先が読めますからね。仕入れた土地に建物が完成して販売できるのが2年後とか、管理や家賃収入を得られる物件数を積み上げていくとか。3年後、5年後を計画しやすい業種だということがあるかもしれません。

堀江 でも、5年後のことなんて誰にもわからないでしょ。