ホリエモンが既得権とぶつかる理由とは?

編集部 では、質問を変えたいと思います。今までのニュースなどを見て、堀江さんは既得権益と戦う人だというイメージがあるのですが、きっと、本人としては何も既得権益と敵対してやろうとは思っていないんですよね?

堀江 そうですね。向こうが勝手に敵対心を燃やしてくるだけの話で。

杉本 でも、堀江さんも結構毒舌吐いてましたよね。

堀江 いやいや、だからそれは絶対にいいことなのに思い通りにいかない苛立ちというか。たとえば、最初は銀行でぶつかったんだけどさ。俺たちが資本参加したイーバンク銀行(現:楽天銀行)は「メルマネ」っていう振込サービスを普及させようとしたんだよね。支店名や口座番号とかわからなくてもメールで送金できる仕組みで、すごく便利なんだよ。でも、旧態依然とした体制の中では話が進まなくてさ。

杉本 セキュリティの問題とかあるんじゃないですか?

堀江 違う。そこが既得権なんだ。

杉本 そうなんですか?

堀江 今の銀行振込には文書と電子があって、文書振込は全国にある手形交換所で毎日決済してるわけ。だから振込に丸一日かかったりするんだよね。電子振込のほうは、全銀ネットワークっていう旧電電公社が開発した40年くらい前のシステムを今でも使ってる。古いでしょ。でも、そこに手数料収入があるから、そのシステムをすっ飛ばしてメールで送金できるようになると、そこで飯食ってる人が困るってことなんだよね、たぶん。

杉本 体質的に天下り団体のようなものですね。

堀江 まったく、やってることが意味不明なんだよ。僕がぶつかったある企業も、要するに僕らが経営陣に入るのが嫌だっていうことでしかなかったりしてさ。自分たちの保身が第一で、儲けも出さないでのんびりやっていたいだけなんだ。だから、つい強い言葉が出ちゃうわけ。

杉本 なるほど。高度経済成長で守られてきた老舗企業にも、そういう会社が多いかも知れないですね。でも、あまりにも旧態依然とした企業は淘汰されているし、これから徐々に変わってくるんじゃないですか。

堀江 いや、変わらないと思うよ。相変わらずの感覚で、買収防衛策とか意味不明なことがはびこってるし。

杉本 買収防衛策は経営陣が自分たちの身を守る策になっていることが多いですからね。株式市場としてみても、たしかに不合理な面はあります。株主利益追求の原則に反してます。

堀江 会社は経営陣のためにあるわけじゃないんだよ。もっというと、株式会社って「こういう事業をやりたい」という趣旨の上でお金を集めてるんだから、事業を発展させることが第一義のはずなのに、それができていない。事業を発展させられないヤツが経営陣でいることはおかしいだろっていうことですよ。(後編へ続く)


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目次
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○第2章 暗雲──「傲り」を象徴する出来事が僕を蝕み始めていた
○第3章 地獄──暗闇の断崖を転げ落ちながら必死でもがき続けた
○第4章 奈落──民事再生、自己破産、絶望しそうな淵の底で
○第5章 希望──2年間は修行と決めて真にやりたい事業を見つけ出す
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失敗しても、またゼロに戻るだけだ。
決してマイナスにはならない。
だから、一歩を踏み出すことを恐れず、前へ進もう。

堀江貴文はなぜ、逮捕され、すべてを失っても、希望を捨てないのか?
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【本書の主な目次】
第0章 それでも僕は働きたい
第1章 働きなさい、と母は言った──仕事との出会い
第2章 仕事を選び、自分を選ぶ──迷い、そして選択
第3章 カネのために働くのか?──「もらう」から「稼ぐ」へ
第4章 自立の先にあるつながり──孤独と向き合う強さ
第5章 僕が働くほんとうの理由──未来には希望しかない

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