景気の好転、企業収益の回復基調にあって、企業の採用意欲が復活している。新卒採用は、学生側からすると「就職難」から一転、「売り手市場」化した観もある。それだけに、大企業の秋採用開始を控えた今、内定者の囲い込みは、人事部門、採用担当にとっては例年にも増して重要な課題となっている。
本連載では、内定者フォローの意義と、その手法について、解説する。
内定者には必ずしも
社風は伝わっていない
9月になりました。
10月1日には多くの企業が内定式を実施します。そろそろその準備に取り掛かろうか、という人事部のご担当が多いのではないでしょうか。
内定式で来春の新入社員が顔を合わせると、早くも新年度を先取りするような空気になるのでしょう。入社まであと半年あるとはいえ、若手育成計画が実質的なスタートを切る、と言っていいかもしれません。
内定期間から始まるコミュニケーションが、モチベーションの高い状態で入社を迎えさせ、職場になじみやすくする。そしてひいては早期に成長させることになる。私たちは、そう考えています。
では、よい内定者フォローとは、どのようにあるべきなのでしょうか。
何もビジネススキルに関する実践的な学習をさせなければいけないわけではありません。
そうではなく、このタイミングで必要なのは内定者と企業とが、お互いをより深く知りあうことではないでしょうか。
企業情報を収集し、何回かの面接を経て、学生は内定に至るわけですが、学生はまだ表層的にしか会社のことを理解していません。