ふくらむ国債買い入れへの期待とハードル

 一方で、市場では国債買い入れを含む“本格的な量的緩和”への期待も依然として大きい。今回、これに踏み込まなかったことを期待はずれとする声も一部にある。

 ドラギ総裁は、国債買い入れも検討の俎上に上ったことを明かし、状況次第で今後の導入があり得るとの期待をつないだ。

 しかし実際には、欧州連合(EU)ではその実現は極めて難しい。加盟国の財政・経済力の違いから、どの国の国債をどういった形で購入するのかという難問がある上に、財政規律の緩みにつながるとして、ドイツなどが強く反対しているからだ。

 ECBとしても、国債買い入れには踏み込みたくないというのが本音だろう。

 半面、現状で撃てる弾はすべて撃ち尽くした形となったのも事実だ。逆に言えば、期待インフレ率が崩れ、本格的にデフレ突入となった場合、残る手段はいよいよ国債の買い入れしかない。

 まずは、9月開始のTLTRO、10月開始のABSおよびカバードボンド買い入れが、どれだけ効力を発揮するかが重要だ。TLTROは金融機関が実際にどこまで利用するか不透明であり、ABSやカバードボンド購入も、規制面などでの市場整備がないとうまくいかないとの指摘がある。

 もしこれらの策が目論見通りいかず、景気やインフレ率の浮揚効果が働かなければ、EUは苦しい状況に追い込まれる。

 今後3カ月は、欧州経済が浮上できるかどうかの岐路となりそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 河野拓郎)