「NOBUスタイル」とは?
―ー「NOBUスタイル」と呼ばれる料理のスタイル、またマネジメントのスタイルをどう考えていますか?
エルベ 私にとって「料理は人」です。NOBUスタイルの料理はシンプルであると同時に、さまざまなキャラクターを含んでいます。基本は和食で、素材も盛り付けもシンプルであるほどよいとノブさんは言います。しかし、そこにそれぞれのシェフの個性が反映されてもいます。
NOBUがなぜ世界中で人気があるかといえば、日本料理をベースにしながらも、お客さんの好みに合わせたアレンジができるからだと思います。たとえば「セビーチェ」のようなペルーの味を取り入れたものがある。「和」の基本からはずれないというノブさんのチェックが入った上で、それぞれの国のシェフが、その土地にある素材や「うまみ」を取り込んで、オリジナルの料理を出すこともできるのです。
食事を終えたお客さんに聞くと、「NOBUで食べた料理はよく覚えている」と言います。シンプルでかつ香りが豊かだからだと私は思います。他の高級レストランの料理は複雑すぎて何を食べたか思い出せない。
ヒロ 「来てくださったお客さんを幸せにすること」を最優先に考えて、和食の基本は守りながら柔軟性があるのがNOBUスタイルと言えますね。たとえばアレルギーのお客さんもいらっしゃる。食べられないものを避けながら最高に喜んでいただける料理を出したい、ご希望に添うためにできる限り柔軟に対応しよう、ベストを尽くそうというのが、料理にもサービスにも共通する姿勢です。