IT業界が風雲急を告げている。世界同時不況によって、業界のあり方が変わって再編が進むという人もいるが、個人的にはちょっとした引き金に過ぎないと考えている。
IT業界全体が、ある意味での“踊り場”に来ているのではないだろうか。
1995年頃から家庭にインターネットが普及し始め、爆発的な勢いでPCや関連製品が売れた。同時にハードウェアのスペックが向上を続けて行ったのは、ご承知の通りだ。
ところが、ここへ来てこれまでの成長路線にかげりが見え始めている。
相変わらずハードウェアメーカーは高性能をウリにするが、ネットブックが市場を破壊し始めたように、実はユーザーのニーズは、それほど高い性能にはないのだ。
それは、「Microsoft Office」もしかり。「Office」はバージョンを上げるほど機能を追加・向上して来たが、そろそろ画期的な新機能を追加するのが難しくなっている。
現実的には、全体的なインタフェースを変更して、全く新しい「Office」を作るのは難しい。そこが、王者であるマイクロソフトの辛いところだ。
それは、あまりにも普及が進んでいるために、操作性を変えるとユーザーが怒り始めるからだ。また、ファイルが標準化しているのも痛し痒しだ。バージョンの垣根を越えて、ある程度の読み書きができないと、やはりユーザーは怒り出す。
そんながんじがらめの状態で、魅力的な新機能を追加するのは非常に苦しい。
「Windows Live Workspace」では、ブラウザー上でオフィスのファイルを開いて確認できる。 |
「Googleドキュメント」は、ファイルを編集できるが、「Microsoft Office」形式のファイルでは互換性がやや心許ない。 |
だが、次に登場する「Office」は、ウェブ上でのオンライン利用が可能だという。つまり、全く別の使い方で、慣れ親しんだ「Office」が提供されるというわけだ。すでに「Googleドキュメント」が実現している「ブラウザー上でファイルを開いて編集する機能」を持つという。
しかも、「利用は無料」だと言うから驚く。ただし、フル機能を使う「Office」は、従来同様、PCにインストールすることになり、こちらは有料のままだ。
実は、マイクロソフトは「Windows Live Workspace」ですでにオフィスファイルをアップロードして管理する仕組みを提供しており、「PowerPoint 2007」のファイルもちゃんと表示できる。