外資の壁──外資系企業と日系企業で年収が変わる
2つ目は、「外資の壁」です。
外資系の証券会社に勤めている30歳の営業マンが、年収4000万円~5000万円で、六本木ヒルズに住んでいる……。皆さんも一度は耳にしたことがある話かと思います。ちょっと考えると、これもおかしいですよね。日本の証券会社や銀行に勤めている人は、そんなにもらっていません。活躍している人でも、30歳の営業担当で800万円~1000万円台前半といったところでしょう。外資系企業と日系企業の間に、だいぶ大きい年収差があるようです。
他の業界に目を向けてみましょう。コンサルティングファームではどうでしょうか。外資系戦略コンサルティングファームと日系の大手シンクタンクを比較してみましょう。外資系戦略ファームでは、中核戦力となる30歳くらいのシニアコンサルタントクラス(マネージャーの下)で1200万円程度の年収となります。一方、日系シンクタンクで同クラスの年収は、700万円~800万円程度でしょう。なんだかおかしいですね……。
外資系企業に入って、年収アップを実現する
このように、外資系企業と日系企業の間には、同じ業界の同じ仕事でも年収差がかなりあることがわかります。その年収差には、付加価値を生んでいる人にどれだけ傾斜して配分するかという発想の差やグローバル展開することによる高収益化など、さまざまな要因が考えられます。
ただ、いずれにしても概ねこのような傾向があるということは、キャリア設計において重要なポイントになります。もちろん、個別の企業ごとに年収は異なります。必ずしもすべての外資系企業が日系企業よりも年収が高いというわけではありません。あくまでおおよその傾向としてご理解ください。
このように見てくると、年収アップの方法を尋ねてきた経済誌の記者に対して、私が「英語の勉強をするのがいい」と答えた理由がわかると思います。ビジネス英語を使えるようになり、「外資の壁」を越えると、年収アップにつながる可能性が高くなるのです。年に1回の一発勝負となるリスクの高い資格試験に労力を割くよりも、努力した分だけ力がつき、ビジネスレベルに到達すれば年収アップに直結する英語の学習は、英語の勉強が嫌いでない人にとっては、とても魅力的な努力の仕方と言えるかもしれません。