業界の壁──業界によって年収が変わる

 3つ目が、「業界の壁」です。

 これは比較的イメージしやすいかもしれませんね。就職活動時に、一度は検討している方が多いでしょう。例えば、同じ大手の日系企業でも、製造業より都市銀行のほうが給料が高く、総合商社の給料はさらに高いという傾向があります。ほとんど同じスキルセットでほとんど同じ業務を行なっても、業界によって年収がだいぶ異なるのです。

 例えば、社内の情報システム担当者という仕事に就いた場合、日系の大手金融機関では30歳で年収800万円~1000万円程度となります。それが日系の大手メーカーの社内情報システム部門では、年収600万円程度のことが多いでしょう。人事や経理などの他のバックオフィスの職種も同様に、業界によって年収に大きな差があるのです。

 スキルはそれほど大きく変わらないにもかかわらず、明確な年収差が生まれています。つまり、人事や経理や社内情報システムという職種に関心があるというだけであれば、業界を選ぶことによって年収をアップさせることができるということなのです。

 基本的には、従業員一人あたりの利益が大きい会社ほど、給料が高いという傾向があります。大手の金融機関、製薬会社、大手インターネット系企業などもまさにそうです。実際、「外資の壁」と「業界の壁」を掛け合わせた外資製薬業界の年収水準は、非常に高くなっています。

3つの壁を理解すれば、効率的な年収アップ方法が見えてくる

「階層の壁」、「外資の壁」、「業界の壁」と3つの代表的な壁についてお話ししてきました。このように「壁」の存在を知ることで、どのような方向に努力をすればいいのかが見えてくると思います。特に意識していただきたいのが、「階層の壁」です。年収面の話だけでなく、世の中にいろいろなことを仕掛けていくチャンスを持てるなど、多くの面で魅力的なキャリアが待っています。

「階層の壁を越えるためとは言え、起業なんてハイリスクだ」と思う方もいらっしゃるかもしれません。それは、事業経営に関するスキルや経験を持たずに起業しようとする時の話です。前回の記事でご紹介したように、「キャリアの階段」をつくり、必要な経験をしっかり積んでから起業すれば、それほど難易度が高いものではないのです。


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