テレビ局のワイドショーで
テレビ局が取材を受ける!?

 WOWOWだけのコンテンツをWebでも展開することで、次の試合をライブ中継で見たいと思わせるストーリーを作っていたことが、「加入問い合わせ20倍」の状況を呼んだものと考えられますが、反面、それによってWebにアクセスしにくい現象が続いた結果、Webの加入申し込みページが閲覧できない、加入申し込みの電話もつながりにくいという状況が、準決勝から決勝にかけて起きたといいます。

 電話での受け付けに関しては、カスタマーセンターの人員を増員し、普段は9時~21時の受け付けのところを24時間に変更して対応に追われたそうです。

 通常、WOWOWは加入手続き後15分くらいで視聴できるようになるのですが、さすがに試合当日の9日深夜0時過ぎの段階で、「試合開始までに視聴ができないかもしれません」という案内がWeb上に掲載されました。

 さらには、午前6時に始まる試合の視聴が担保できない可能性が出たため、Webからの加入の受け付けをストップ。電話での受け付けに絞って、申し込み者には、試合開始に間に合わない可能性のある旨の説明を含め、朝まで加入対応をしたということです。

 アクセス数の急増でWebがつながりにくくなり、放送の15分前より早く加入手続きが完了しても視聴できるか分からない、といった事態に、「今回の“錦織効果”では、特需というよりも課題が浮き彫りになった」と豊島氏は語ります。

 想像を超えたアクセスのピークを事前に想定してインフラを設計していたら、コストが何倍にも膨れとても立ち行かない。課題は、いかにピークを事前予測し、ケースに応じた準備をしていくか、ということ。さらに、対応しきれない場合の機会ロスをどう埋めるかと、鈴木氏は振り返ります。

 また今回、これもWOWOWにとって初めての経験だったそうですが、「WOWOWを取材したい」と、地上波の放送局から取材を受け、多くのワイドショーに本社エントランス風景やカスタマーセンターが露出したのです。普段であれば、“同業のテレビ局同士”ですから、こんな取材は考えられません。

 ところが、地上波の視聴者が最終的に知りたい情報が、「どうやったら決勝戦を見られるのか」だったのであり、その答えを持っているのがWOWOWだったわけです。

 鈴木氏は、「地上波のテレビ局は、当社が提供した映像を進んで取り上げてくれ、露出回数も時間もとても多かった」と、Webの他、地上波への情報提供が多くの新規加入者のリーチにつながった背景を説明してくれました。