
利用者以外からは街中で嫌われがちな電動キックボード。「なんとなく危険そう」という印象は拭えない。しかし海外で「電動キックボードは電動自転車よりも安全」という研究結果が出た。(フリーライター 武藤弘樹)
電動キックボードの8倍!
事故リスクが高い「小型モビリティ」
電動キックボードは電動自転車より危険である――というのは日本でもなんとなく思われてきたことだが、小型モビリティで先進的な欧州ではもはや定着していた認識であった。
利用者のマナーは芳しくなく、電動キックボードがいかに危険かを示すデータやそれを指摘する研究もいくつもあったので、「電動キックボード=危険」は動かざる事実であったのである。
しかし今年9月、その前提を揺るがす新たなレポートが発表された。スウェーデンのチャルマース工科大学の研究チームによると、レンタル電動自転車の事故リスクはレンタル電動キックボードに比べて8倍高いことが示されたのである。
こういった研究には望んだ結論を得るべく準備して行われた作為的ものがあるから、警戒しつつよく調べてみると、これに関してはどうやらそうでもないらしい。研究者自身が「逆の結果が出ると思っていた」と語っているのはまあいいとして、公平かつ詳細な比較の結果示された結論だったのである。
それを可能にしたのは欧州7都市を対象にした、ジオフェンシング(仮想の柵のようなもの)や利用者のGPSデータの利用で、これによってレンタルモビリティ利用の実態により正確に迫れることとなった。
従来の研究では「レンタルと私用者の混在」や「都市部と農村部の混在」などが見られたが、これをレンタル・都市部の条件に限定。なお、農村部なんかは交通量が少なくて自転車は距離が稼げるので、農村部を含めた方がより「自転車は安全・自転車有利」な統計になる。