「定時で帰って何が悪いの?」そんな若者たち写真はイメージです Photo:PIXTA

「定時で帰って何が悪いの?」そんな若者たちの姿に、職場の上司が戸惑うことも少なくない。だがそれは、価値観が変化した現代社会では、ごく自然なことなのかもしれない。若手世代の声に耳を傾けてきたキャリアコンサルタントの上田晶美氏が、彼らの本音や行動の背景にある意識の変化を読み解く。※本稿は、上田晶美『若者が去っていく職場――人事部は知らない!若者の離職の本音』(草思社)の一部を抜粋・編集したものです。

コロナ渦で激動の1年間に
就職活動をしたN君の体験談

「フルリモートということで入った会社でしたから、週3日出社になったところで『エ?話が違うんじゃない?』、契約違反だろうと思いました」

 そう訴えるN君はコロナ禍入社組です。大学3年生の終わり頃からコロナ禍になり、大学の講義も、就職活動も、急にオンラインを余儀なくされました。

「あの1年は激動でしたね。生活が全く変わって、外に出られず、半年間は大学にも行けず。アルバイト先の中華屋さんには全然お客さんが来なくなり、急遽お弁当を販売することにして、SNSで宣伝してあげたら、店長にものすごく喜ばれました。サークルもオンラインになってみんなが辞めそうだったから、お昼をオンラインランチ会にしたり、いろいろ工夫して乗り切った気がします。

 就職はオンライン面接があまりうまくいかなくて。パソコンでの面接はどうも手ごたえがなくて第一志望の金融機関などには受からず、最終的に『フルリモート』の『フィンテック』の会社を選びました。1年目は外資系から来た上司の下でフルリモート。割と快適に働いていたんですが、2年目になって上司が変わり、会社もフルリモートから週3日出社になりました。