先週末に行われた男子プロテニス、ソニーオープン(米フロリダ州マイアミ)で錦織圭が快進撃を見せた。

 錦織の現在の世界ランクは21位だが、3回戦で同16位のディミトロフ(ブルガリア)、4回戦で同4位のフェレール(スペイン)を撃破。そして準々決勝では、ウインブルドン選手権を2003年から5連覇、全米オープンを2004年から5連覇、4大大会をトータルすると17回も優勝している現世界ランク5位のフェデラー(スイス)をも破ったのだ。

 フェデラーには昨年5月のマドリードオープンでも勝っているが、この時はフェデラーが苦手とするクレーコート(土)というアドバンテージがあった。が、今回は得意なハードコート。そこでかつての絶対王者フェデラーと互角に渡り合い、勝利を収めたのは錦織の実力が世界のトップレベルに迫っている証拠だろう。

 4回戦でフェレールと3時間5分、準々決勝でフェデラーと2時間8分の激闘を行ったため、古傷の左股関節痛を発症。世界ランク2位のジョコビッチ(セルビア)との準決勝を棄権したのは残念だったが、ランク上位の強者3人を次々と負かしたことは称賛に値する。敗れたフェデラーが「このまま行けば、ケイはすぐにトップ10入りするよ」と言ったように日本選手にとって夢のまた夢だったランクひとケタ台が見えてきた。今季の錦織の試合は見逃せなくなったといえる。

◆コナーズにマッケンロー、アガシ……
かつての強豪アメリカ勢はどこへ行った?

 ところで、ふと気づいたのだが、錦織が4回戦で破った世界ランク4位のフェレールはスペイン人、準々決勝で破った5位のフェデラーはスイス人だ。また、現在1位のナダルはスペイン人、2位のジョコビッチはセルビア人、3位のワウリンカはスイス人である。ひと昔前の男子プロテニスといえばアメリカ人選手が主役だった。ジミー・コナーズ、ジョン・マッケンロー、ジム・クーリエ、ピート・サンプラス、アンドレ・アガシなどそうそうたる選手が揃っていた。