決済の革新を実現して成功
運営方式は中小企業型を取る

 杭州で一度、アリババの運営方式を見たことがある。

 中国ではちょっとした企業でも社長、部長は個室を持ち、一般社員は大きい事務室でコツコツ働く。それが、アリババに行ってみるとまったく違う風景になっている。

 一つ一つの小さなチームは、新たに営業成績を上げると、チーム全員が立ち上がって拍手する。その拍手がまたオーバーアクションで、よくスポーツの応援に使われる手の形をしたプラスチック製の道具を、アリババはそのまま職場で使っている。そこへ走っていって聞けば、また1万元の商談がまとまったという。これほどの大企業で1万元でもこんな拍手を送るので、あっちこっちの営業チームから絶え間ない拍手が伝わってくる。これは1980年代の東京証券取引所を見学した時に受けた驚愕に匹敵する。

 北京のオフィス街で忙しく行き来する宅配便を見れば、やはりアリババの存在を強く感じる。忙しいお母さん会社員は、オフィスビルの下で粉ミルク、紙おむつを受け取り、お金を支払う。アリババからあれこれ買い物し、時間を節約している。

 それを支えているのは、アリババの2万5000人の社員である。

 中国では人の動きがどんどん流動化するので、商品を受け取ってから後で代金を請求するなどということをやっていたら、きちんと支払ってもらうことなどほとんど期待できない。一方、メーカーに事前に代金を支払ったら、おそらくその商品は期日通りには受け取れない。アリババがインターネットビジネスを始めようとしていると聞いて、何人もの専門家にその成功の可能性について取材したことがある。彼らは、「ほとんど成功の可能性はゼロ」と口をそろえて答えた。一番大きな原因は、資金回収があまりにも難しいと見ていたからであった。

 しかしアリババは、あっという間に電子マネーを開発。買い物客はいったんマネーをアリババに移転して、品物を受け取ってから買うという意思があれば、今度はアリババから販売側にマネーを移動、キャンセルならば輸送料だけ支払って残りのマネーは買い物客のところに戻す。アリババはこの支払方式で、中国におけるEコマースのボトルネックをきれいに解決した。アマゾンとよく似たアリババ傘下の「天猫商城」には、アメリカ企業のNikeやGapも出店している。

 今日では、この支付宝(アリペイ)が重要な電子マネーの地位を占めている。アリババの3億以上のユーザーは、アリペイに複数の口座を開設しているし、その数は8億以上ともいわれている。