中国では年初から理財商品のトラブル、社債のデフォルト、零細銀行での取り付け騒ぎなど不穏な動きが起きている。制御不能の金融システム危機が勃発しているかのような報道が日本ではよく見られる。上海のビジネスマンや日系大手企業の駐在員に先日の出張時にそういった記事を見せたが、大抵、「大げさですねえ」と爆笑される。
中国の金融システムが問題を抱えているのは事実である。しかし、今の局面は「ウォールストリート・ジャーナル」(3月26日)が描写しているように、「中国の規制当局は、無謀な融資行為を抑えるための手段として、デフォルトを許容する実験を行っている」という解釈が正しいと思われる。
中国政府が昨年の三中全会で示した改革方針を遂行できるかどうかが今後の鍵となる。そういった不確実性がありながらも、海外企業は中国市場に積極的だ。米GMは10億ドル、独ダイムラーは10億ユーロ(13.7億ドル)、韓国現代は1兆ウォン(9.3億ドル)の新規巨額投資を計画中だという。
ところで、eコマースのアリババが昨年6月に開始したファンド、余額宝は上海でも大きな話題となっていた。同ファンドは爆発的に成長し、3月2週目でMMFの中で資産規模世界第4位になった。