中国国内で利益を獲得し、
海外の投資家に還流する

 アリババのような企業が中国、少なくとも香港で上場するのは、実はアメリカへ行くよりはるかに難しい。

 香港での上場をアリババも試みた。しかし、金融民主化体制を採る香港では1株1票の方式を取っている。十数%の株しか持たないのに、役員人事などをすべて決めていくというアリババのやり方は、その民主主義(パートナー制)とぶつかる。

 中国大陸ではITのような、鉄鋼などと違い「虚業」と思われている企業が上場すること自体、ほとんど考えられない。実際これまでの数年間は、新規上場もなかった。

 毎日オフィスビルの谷間を、忙しく行き来している宅配便の姿を見れば、どのぐらいアリババが使われえているか、言わずともわかる。2013年のEコマース市場は10.6兆元(約170兆円)、そのうちインターネットでの買い物の売上だけでも1.3兆元(約20兆円)だった。Eコマースは中国でスタートしたばかりで、2014年に13兆元(約200兆円)、2015年に15.7兆元(約251兆円)に成長すると、『2013年中国電子商業行業分析報告』が見込んでいる。

 しかし、資金調達となると、アリババの場合、初期の投資段階では日本などの外国に依存し、株式上場はアメリカに行き、「国内で儲けて、国外に利益を配当する」と中国では批判を受けている。今の中国の民間企業で、自由に設立して株式も海外で上場できるのはIT企業ぐらいであり、その経営モデルは今後も続くと思われる。

 そのモデルを変えない中国だからこそ、日本の投資家には孫正義氏のような目で、中国市場を見てもらいたいものである。