2007年10月にマルハグループ本社とニチロが経営統合し、マルハニチロホールディングスが誕生してはや2年。3年かける予定だったスリム化が1年前倒しで達成確実となるなど、早くも統合効果が表れ始めている。だが、不安要因も少なくない。積極投資に打って出た五十嵐社長の戦略や、いかに?(聞き手/『週刊ダイヤモンド』編集部 小出康成)

五十嵐勇二
撮影/宇佐見利明

 水産のマルハグループ本社と加工食品のニチロの経営統合はおそらく食品業界でベストと呼べる組み合わせだろう。もし、経営統合せずに、それぞれ単体で走っていたら、この不況下でかなりひどくやられていたに違いない。

 統合から2年、特に昨年9月のリーマンショック以降、水産業界を取り巻く環境はまったく変わってしまった。

 高騰していた水産物相場は一気に下がり、「買い負け」が一転して世界中の在庫が日本に向かっている。消費低迷も続いており、これ以上状況がひどくなるなら、業績見通しの下方修正があってもおかしくない。

 だが、こんな難局に直面したことで、旧・マルハ、旧・ニチロの社員はお互いに経営統合の成功に向けて燃えている。

 経営統合は計画どおり順調に進んでいる。コスト削減策は1年前倒しでほぼ達成し、さらに9月に上積みした。統合時に掲げた北海道、東北地区での工場統廃合に続いて、今度は西日本でのコスト削減策を策定する。