自分の魅力を伝えようとしても、相手は心を閉ざすだけ

 それなのに現実には、
「自分は○○大学時代、△△の競技で優勝経験があるんだ」
「たぶん同期の中では一番稼いでいると思う」
「趣味で車を3台所有しているけど、1台はイタ車のヴィンテージカーなんだ。今度乗せてあげるよ」
 などと、自分の自慢話ばかりしてしまっている人がとても多いように思います。しかし、自分の価値を相手に理解させ、相手の気を引こうとするのは、180度間違ったアプローチ方法です。

「特別な人」になるには、「あなたがどれだけ魅力的か」ではなく、「どれだけその人のことをわかってあげられるか」のほうが重要です。「特別な人」になるためには、「魅力的な人」になる必要はありません。「わかってあげられる人」になればいいのです。

 では、相手に「この人ならわかってくれる」と感じさせるには、どんな点がポイントになるのでしょうか。

人は自分と似た人と引き寄せ合う

 ホストクラブでは、「お客さまを見れば、そのホストのタイプがわかる」といわれています。ノリがいいお客さまを担当しているホストは、ノリがいい。押しが強いお客さまが多いホストは、やっぱり押しが強い。

 私はチビで口下手な自分を逆手にとってホストになったことを売りにしていたので、お客さまも「悩みを解決したい」「話を聞いてほしい」という人が大半でした。このように不思議なほど、ホストとお客さまは似た者同士の組み合わせが多いのです。

 それを裏づける調査結果があります。アメリカの心理学者ニューカムは、大学の学生寮に入ることになった新入生が、どのように親しくなっていくかを調査しました。その結果、最初は、部屋の近い者同士が仲良くなりましたが、4ヵ月後には考え方や価値観、ライフスタイルなどが類似した者同士で親しくなっていたそうです。

 人は、自分と性格や行動、価値観が似ている人に「快」の感情を抱きます。その理由は、基本的に人は「自分のこと以外、興味がない生き物」だからです。それゆえ、自分と似たところのある人(=自分自身)に惹かれるのです。
 相手に心を許してもらうには、お互いの共通点を探したり、しぐさを真似たりするなど、「私とあなたは似ています」とメッセージをどんどん発していくことが大切です。服装や持ち物なども、自分の好みにこだわるより、相手の好みに合わせたほうが、相手の心に入り込みやすくなります。