初めて異国の地を踏んだのは、20代の時、アムステルダムだった。拙い英語で「オランダに来られて嬉しい」と話したが、オランダという表現では全く通じないことに気がついた。そうだ、現地ではネーデルラント(英語ではネザーランド)だったんだ、と我に返ったが、わが国では世界では通用しない言葉が今でも多数使われている。これからのグローバル時代を展望すると、一度、普段なにげなく使っている言葉を見直してみる必要があるのではないか。
オランダはネーデルラントに、
イギリスは連合王国に
日本語のオランダは、ネーデルラント西部の地域、ホラント(アムステルダムやロッテルダム、ハーグなどの主要都市が含まれる)に由来する。ホラントがポルトガル語経由で入ってきたものである。これに対して、ネーデルラントは「低地の国々」を意味する。フランス語のペイバも同じ意味である。国の特徴をよく表わしているので、これからの教育では始めから(オランダではなく)ネーデルラントと教える方が理解が進むのではないか。
全く同じことが、イギリスという言葉についても言える。この国は、世界ではUK(ユナイテッド・キングダム)すなわち連合王国と呼ばれている。正式名称はグレートブリテン及び北アイルランド連合王国である。イギリスはイングランド(スコットランド及びウェールズと共にグレートブリテンを構成)をポルトガル語で呼んだ訛りから来ているそうだ。連合王国が4つの国の連合体であると認識すれば、先日のスコットランドの独立を巡る騒動も理解がしやすくなる。ロンドンを訪れた時も、イギリスよりUK(連合王国)で覚えておいた方がはるかに簡便だ。
このように考えれば、文科省が音頭を取って、オランダやイギリスの代わりにネーデルラントや連合王国(もしくはUK)という、より正確な用語を教育の現場で用いるよう指導し、それとともに、テレビや新聞等のメディアがより正確な用語を使うように側面協力すれば、用語の見直しはそれほど難しいことではないと考えるがどうか。